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錯誤無効と詐欺取消について(民法)

通説によると、詐欺だと善意の第3者に対抗できないのに対して、錯誤だと善意の第3者にも対抗できるかと思うのですが。詐欺は他者からだまされて行った行為に基づくもので善意の野第3者が保護されるのに、錯誤は表意者の責任によったもので第3者が保護されないのは妥当でないと思いますが、いかがでしょうか?この説は96条3項類推適用など言われていますが、なぜ通説にならないのでしょうか?

質問者が選んだベストアンサー

  • ベストアンサー
  • kyoheii
  • ベストアンサー率68% (20/29)
回答No.2

 こんばんは。論文が書けそうなテーマですね。  確かに、質問者のおっしゃるとおりですね。自分で勝手に勘違いした場合である錯誤より、他人にだまされた詐欺の方が本人保護の要請が強いはずなのに、96条3項によって、逆に、表意者の保護が薄くなっていますよね。96条3項類推適用して第三者保護を図るべきと思えます。東大の内田教授もそう主張されてますね。  では、これがなぜ通説的地位を獲得できないか?その理由は2つほどあるように思われます。  まず、94条や96条には第三者保護規定があるのに、わざわざ95条にはそのような規定が設けられていないことです。規定がないから類推適用すべきとも考えられますが、前後の規定と異なり、わざわざ規定を置いていない以上、類推適用には慎重になるべきとも考えられるのです。  2つめは、錯誤と詐欺の違いです。どちらも、錯誤が生じている点では違いはないのですが、95条の錯誤は、要素の錯誤と表意者の無重過失が要求されていますよね。また、動機の錯誤も解釈上限定的に捉えられています。これに対して、詐欺の場合は、動機の錯誤であっても、要素の錯誤でなくても、表意者に落ち度があっても、他人にだまされれて錯誤に陥れば、これを取り消すことができるため、取消しの対象となる範囲が錯誤無効より広いので、詐欺取消しの遡及効を制限すべきだと考えられているためではないでしょうか。  したがって、錯誤無効の際に安易に96条3項を類推適用すると、表意者を保護しようとした95条の存在意義がかなり薄れてしまうことになると考えられているのでしょう。こう解したとしても、錯誤無効の認定の際に、重過失の範囲を広げることで、錯誤無効の範囲を合理的に限定できます。また、錯誤と詐欺が競合することが多く、どちらも主張できるため、実際上はそれほど問題になりにくいという事情もあるかもしれません。  要は、第三者を保護するのに、95条の成立範囲を狭めて考えるのか、95条の範囲はそれほど狭めなくとも、96条3項類推で対応するのかの差異だと思います。    

horiken33
質問者

お礼

どうもありがとうございます!!!とても参考になりました。

その他の回答 (1)

noname#17513
noname#17513
回答No.1

立法論としては、ありうる と思うのですが 現行法の条文がある以上、解釈論としては、難しい と思います。 ただ、昔 東大のなんとか教授(失念)は、質問者様と同様の主張をされていた と小耳にはさんだことがあります。 ので、見当はずれの疑問 というわけではない と思います。

horiken33
質問者

お礼

やっぱりそうですか。。。参考になりました。ありがとうございます!!!

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