• ベストアンサー

矛盾する記号

数学なのかは分かりませんが、高橋正一郎という人の本を読みました。 ゲーデルという人の話なのですが、その中の不完全性定理という話の中で、 世界は矛盾があるから不完全?なのだみたいなことが書いてありました。 でもよく数学で変な記号?とか使っていろいろなことが証明されたいるじゃないですか。これは矛盾するんだみたいな記号を作ったらどうなんですかね。 そういう学問の基礎的な知識がないので申し訳ないんですが良かったら答えてください。

  • RdX
  • お礼率63% (14/22)

質問者が選んだベストアンサー

  • ベストアンサー
  • starflora
  • ベストアンサー率61% (647/1050)
回答No.1

    論理的な「矛盾」については、まず、「論理的に等しい」とは何かを理解しなければなりません。論理的に等しい二つの命題は、「論理等号」で結ぶことができます。丁度、4と(2+2)というのは、数の世界では、同じことで、「等しい」ので、等号を使って、4=2+2と書くように、論理の命題にも、同じ内容のことを言っている、論理的に同じである、「論理的に等値だ」ということがあり、これを、「論理等号」で結びます。     具体的な例で話をしましょう。「ジョンは大酒飲みだ」という命題があるとします。「命題」とは、何か主語があって、その主語について、何かを断定的に述べる文章のようなものです。他方、「大酒飲み」とはどういうことかという疑問も起こります。どれぐらい酒を飲むと「大酒飲み」になるのか。論理学では、こういうことも決めておかないと、話が進まないのです。     そこで、「大酒飲み」とは、1)酒を飲み始めると、一日、最低で2升の酒を飲む。また、2)一週間7日のあいだに、5日以上酒を飲む。この1と2を満たすのが、大酒飲みだとします。すると、「ジョンは大酒飲みだ」という命題をAとして、先の1と2を、S1,S2の命題とします。この時:     A≡S1&S2     と書きます。線が三本並んでいる等号は、普通の等号ではなく、「論理等号」と言います。言葉で云いますと、     ジョンは大酒飲みだ ≡(は、論理的に、右の主張と等しい) S1(ジョンは酒を飲み始めると一日最低で2升の酒を飲む)かつS2(ジョンは、一週間7日のなか、5日以上酒を飲んでいる)     「大酒飲み」とは何かの定義から、この論理式が正しいことが分かるでしょう。こういう風に、論理的に、命題が主張している内容(真偽)が、同じである場合、二つの命題は、論理的に等値である、等しいと言い、二つを論理等号で結びます。     矛盾というのは、簡単に言えば、論理的に等値でないものを、等値だとしたような場合です。「ジョンは大酒飲みである」をAとして、その否定命題を notAつまり、「ジョンは大酒飲みでない」とします。この時:     A≡notA     はおかしい訳です。これが正しいと主張した場合、「矛盾している」と言います。これは間違った式だという場合、別に矛盾ではありません。矛盾したことを、正しいと言っている人は矛盾を主張していることになりますが、それが矛盾していると指摘する人は、別に矛盾していないのです。     矛盾というのは、元々、昔の中国の伝説的故事から来ていて、ある市で、商人が、自分の商品を自慢して、まず最初に「矛(ほこ)」を出し、「この矛は素晴らしい矛で、どんな楯(たて)でも貫き通す」と言いました。また、更に商品を自慢して、今度は、「楯(たて……盾の元の漢字)」を出し、「この楯は素晴らしい楯で、どんな鋭利な刃物もこの楯を貫くことはできない」と言いました。すると、商人の話を聞いていた群集のなかの一人が尋ねたのです。「では、その矛で、その楯を突いてみてくれ。どうなるのだろうか?」     矛について商人が言ったことと、楯について商人が言ったことが、両方とも正しいとすると、その矛でその楯を突くとどうなるのか。現実の話だと、矛の先が折れるとかして、楯の方が強いということになるか、または、矛が見事楯を貫いて、優れた矛であるとなるでしょうが、どちらの場合も、商人の主張には合わないのです。そこで、こういう商人のような主張を「矛盾」と呼ぶのです。     簡単に言うと、命題Aが、「この矛は楯を貫く」だとすれば、反対命題 notAは、「この矛は楯を貫かない」です。Aと notAが論理的に両立することはないので、Aであり、同時に notAであると言っていた商人の言葉は、嘘で、間違っており、矛盾しているのです。     また、Aと notAは、論理的に等値でないので、これを、     A [≠] notA     と書きます。[≠] は、本当は、三本の線にそれを横切る斜め線を引くのですが、記号がありませんので代用します。A≡notA は矛盾ですが、先に言ったように、これを「真だ」というと矛盾になるので、これが「偽」だと言うのは、矛盾ではありません。「真だ」というのを、Rという記号で示し、「偽だ」というのを、Fという記号で示しますと:     (A≡notA)≡R     は、「矛盾を示している式」なのです。式が、こんな形になると、「矛盾しているのだ」という意味になるのです。     もっと込み入っているのですが、 「これは矛盾するんだみたいな記号」というのは、すでにあるのです。「これは矛盾していない」という記号を逆にする(否定する)と、「これは矛盾している」という記号になるのです。     これは矛盾だ、という記号というか、そういう表現の式が確かにあり、ゲーデルの不完全性定理というのは、ある数学の理論を造ると、その理論に対し、ある命題が考えられ、この命題は「真か偽か」で、ある方法で証明して行くと、「真になる」のですが、別の方法で証明してみると、おかしなことに、「偽である」という結果がでるのです。ゲーデルは、どんな数学理論でも、その真偽が決定不能な命題がありえるということを証明しました。     どんな数学の理論も矛盾がある、つまり、不完全なのだ、というのが、ゲーデルの定理なのですが、注意がいるのは、では、その真偽が決定できない命題というのは、具体的に何のことかというと、具体的には、まったく分からないのです。     これは「嘘つきのパラドックス」によく似ていて、例えば、或る男が、「おれの言っていることは嘘だ」と言ったとします。そう言ったのですから、「おれの言っていることは嘘だ」は嘘になります。しかし、これが嘘だと、「おれが言っていることは本当だ」となります。しかし、「おれが言ったこと」は何かと言えば、「おれが言っていることは嘘だ」ですから、この言葉が本当だとすると、やはり、この言葉は嘘だったのか、となります。     しかし、考えなければならないのは、この「嘘つきの男」は、「具体的に何を言ったのか」です。実は、何も具体的に言っていないのです。「おれの言うことは嘘だ。あの林檎は腐っている」と言ったとすると、「あの林檎は腐っていない」と言っているのと同じで、腐っているかどうか、確かめることができます。     ここで、林檎が本当に腐っていた場合、男の言った通りですが、林檎が腐っていなかった場合、男に対し、「嘘を言うな」となり、男は、実際の林檎の状態で、本当のことを言ったか、嘘を言ったか決まります。しかし、「おれの言っていることは嘘だ」では、何が嘘だと言っているのか、さっぱり分からないのです。ゲーデルの不完全性定理に出てくる証明は、これと実によく似ています。     「それは矛盾するのだ」という記号あるいは「概念」はすでにあるのだというのが回答です。(訳の分からない話ですが、あまり易しく言うと、余計におかしくなるので、ゲーデルの定理や、嘘つきのパラドックスの話は、跳ばしても構いません)。   

RdX
質問者

お礼

凄く難しい話ですね。 全て読みましたが、自分の中で完全に理解できてないので 印刷してじっくり考えます。 こんなに素晴らしい回答をして貰えたことを凄く嬉しく思います。 ありがとうございました。

関連するQ&A

  • 数学の無矛盾性とはどんなものですか?

    そりゃ、公理系が矛盾を一つも証明しないことに決まっていますけど、いったいどんな感じになったら「数学の無矛盾性を証明した」になるんですか、教えてください! やっぱりゲーデル命題を使って論証するんでしょうか?

  • ゲーデルの不完全性定理について

    ゲーデルの不完全性定理について ネットサーフィンをしていたときに、たまたま、ゲーデルの項目を見つけました。 当方、数学は素人なのですが、 ゲーデルの不完全性定理(ある公理系の中には、真偽を明確にできない命題が存在する) を僕たちが生きるこの世界、この宇宙にあてはめて考えると、 この世の中には、論理的には正しいとも間違っているとも証明できないことがらがあるということなのでしょうか。

  • ユークリッド幾何学にまつわる不完全性定理的理解について

    ユークリッド幾何学にまつわる不完全性定理的理解について ゲーデルの不完全性定理の対象となる数学は『公理系Nが無矛盾である』が前提です。ユークリッド幾何学は 一階述語論理で表されることが出来る自然数の部分集合であって、ゲーデルの不完全性定理の対象である 公理Nの無矛盾である 論理の対象になってないとなり それ以上のユークリッド幾何学の論理的理解が進みません。そこでゲーデル理解を拡張して『公理系Nが無矛盾ではない』として不完全性定理を理解すると(須田隆良氏、中西章氏など) (1)ゲーデルの第一不完全性定理の解釈==>公理系Nが無矛盾であろうがなかろうが 公理系Nにおいて、「公理系Nにおいて命題は証明可能である。」という命題も、「公理系Nにおいて命題は証明不可能である。」という命題も証明不可能である (2)第2不完全性定理の解釈==>公理系Nが無矛盾であろうがなかろうが その無矛盾性を証明できない となります。これらはゲーデル不完全性対象から外れておりますが、対象外のユークリッド幾何学を理解するには都合がよい と思うのです。 (2)によりユークリッド幾何学の公理の無矛盾性は証明できない。 (1)によりユークリッド幾何学の未定義領域(非ユークリッド幾何学、虚数、無限遠点とか)は 公理系Nにふくまれ 多くの証明できない命題があることになります。もちろん 公理定義内では完全性理論は保証されています。 なぜ このようなユークリッド幾何学に こだわる かと申しますと 世の中の 論理(数学、哲学、論理を用いた論文 など)は ユークリッド幾何学的なものが 圧倒的に多いと思うのです。これら論文は ほとんどは一階述語理論で表され かつ ゲーデル不完全性定理 対象論理ではないのです。それら論文の特に(2)に関わる自己証明は出来ない ということは重要であると思うのです。もちろん 自己証明が出来ないと言って間違いとはなりません が 常に 冷静に謙虚に 主張理論の原点を見直すことに 繋がっていると思うのです。勿論、論理構成が出来ていないシロモノは 論外であります。    以上のように理解しているのですが、ユークリッド幾何学にまつわるゲーデル不完全性定理の場外理解は問題ないでしょうか。諸先生のコメント頂けましたら幸甚です。

  • この命題は証明できないについて

    ゲーデルの不完全性定理などの話の中で上がる、「この命題は証明できない」の矛盾について、どこが矛盾になるのかよくわかりません。 定義的な読み違いだと思うのですが、自己言及のパラドックス(床屋の〜とか嘘つきの〜)については納得というか理解ができます。 例えば嘘つきのパラドックスでは「私は嘘つきである」という発言が正なら嘘をついているので正直者ということに、偽なら正直者のはずが嘘つきと嘘をついている、と矛盾が生じます。それはわかります。 この命題は証明できない、の場合も同じように考えるのだということはわかるのですが、「この命題」をAと表記したときに、「Aが証明できない」が正であれば「Aは証明できない」ということを「証明できる」ということになります。 「Aが証明できない」を偽だとすると「Aは証明できる」ことになります。 ここまではよいのですが、これは数学的な話であり、正の「Aが証明できないことを(BやCなど別の定理を使って)証明する」ことは可能な気がしますし、偽の「Aは間違いである」と結論付けることにも問題がない気がします。 嘘つきのパラドックスとの差に、他の考え方(上記例で言うとBやCといった命題以外の定理)の持ち込みがあるので、これが読み違いというか悩みの原因だと思うのですが…。 持ち込みがなく、命題のみで行う場合(=自己言及のパラドックスに陥る場合)がゲーデルの不完全性定理に当てはまる場合であり、持ち込みがあり矛盾なく証明または反証ができる場合が解決可能な定義(または予想)という認識であってますか…?? 数学学んでるわけではなく、単純に目に触れて興味持っただけのド素人です。学校教育から離れて久しいですので、ものすごくわかりやすい説明や解説を求めております。。。

  • 公理とその応用分野での矛盾・問題

    数学にはさまざまな分野がありそれぞれに公理があるようですが、 それらの公理に矛盾が本当にないのでしょうか? 一見して公理に矛盾がなさそうでも、それらの公理を基にした証明や、さらにそれを基にした他の物理学や生物学などの学問に矛盾や問題が起きる可能性はないのか?また実際に起きたことはないのでしょうか? 私は数学に関してまったく無知であり、断片的な知識を元に質問していますので質問自体におかしい点があるかもしれませんが、わかりやすく解説お願いします。

  • ゲーデルの不完全性定理とは?

    入門書を読んで理解を深めてから質問しようと思っていたのですが、なにぶん多忙かつ 魯鈍であるため、ほとんど理解していない状態での質問をお許しください。 ゲーデルの不完全性定理の入門書を読むと、一般人向けの説明として次のように記述されて います。 ●自然数論を含むような数学的体系の無矛盾性を、その体系内で証明することはできない。 これは、分かりやすいく言うとどういうことなのでしょうか。論理記号式を使用しないと 説明は無理ですか。 不完全性定理は「自己参照」とか「自己言及」を行なった際に生じる、避けられない 困難性や矛盾の存在を言い表しているのだと思いますが、次のような(安直とも言える) 拡大解釈を許すような、普遍性のある定理なのでしょうか。 ●認識主体が自分自身を完全に認識することはできない。(認識) ●哲学が哲学を完全に定義することはできない。(定義) ●体制が自己の正当性を自分で証明することはできない。(証明)

  • デーデルの不完全性定理の素朴な疑問

    具体的なことはよくわからないのですが、 数学の系が無矛盾ではありえないというのがゲーデルの不完全性定理 だとするなら、その不完全な数学によって設計された飛行機や 電車などが設計通りに動くのはなぜですか? 数学の不完全性というのは誤差の範囲なのでしょうか? お分かりの方いらっしゃいましたらご教授ください。

  • 数学基礎論の質問

    いま大学生で、数学基礎論に興味があるのですが、自分が通っている大学に数学基礎論の分野の人がいなくて疑問が解消できず困っています。 そこで論理学と結び付きが強い情報系の准教授がいるのですが、その人に数学基礎論についてや、ゲーデルの不完全性定理について質問したいのですが、この分野の先生に聞いても大丈夫なのでしょうか。 よろしくお願いします。

  • 矛盾

    論理数学で、 「公理系が矛盾していれば、いかなる論理式も証明可能となる。」 というのがあります。 一方、世の中には口の上手い人がいて、 どの結論にも論理的に上手く持っていって、口喧嘩ではいつも常勝タイプの人って いますよね。 これは、世の中が矛盾しているからだ。 と考えることはできないでしょうか?

  •  情報数学

    1.量子コンピュータの数学的原理 2.量子コンピュータの基礎実験に成功した研究機関 3.ゲーデルの不完全性定理 この3つで1つでもいいから教えてください