• ベストアンサー

二体の波動関数から電荷密度を求めるには?

量子力学の波動関数から電荷密度を求めるには、一粒子であれば、 q・|φ(x)|^2 ですが、二体の波動関数の場合はφ(x_1,x_2)どうなのでしょうか? 考え出したらわけがわからなくなってしまい困っています。 ボソンとフェルミオンの場合で違うのか、単にスレータ行列式を 一方の粒子の座標だけで、 ∫q・|φ(x_1,x_2)|^2 dx_2 のように積分するのか、 混乱してしまい、はまってしまっております。よろしく お願いいたします。 具体的には、たとえば、調和ポテンシャルあるいは井戸型 ポテンシャルに相互作用の無い二つのフェルミオンあるいは ボソンを投げ入れたときの問題です。 平面波展開で数表示にしてフーリエ変換するのが正しい のでしょうか。

質問者が選んだベストアンサー

  • ベストアンサー
  • siegmund
  • ベストアンサー率64% (701/1090)
回答No.2

2粒子の波動関数φ(x_1,x_2)がわかっているとして, 確率密度が |φ(x_1,x_2)|^2 です. 座標 x_1 の粒子のみに注目した存在確率は,x_2 の粒子がどこにいてもよいわけですから (1)  ∫|φ(x_1,x_2)|^2 dx_2 でOKです. 粒子に注目しないのでしたら,x_2 の粒子がいる確率密度も加えないといけません. 相互作用のない2粒子系だというなら, 空間座標の直交規格化波動関数をψ1,ψ2 として(ψ1≠ψ2) (2)  φ(x1,x2) = 1/√2 {ψ1(x1)ψ2(x2) ± ψ2(x1)ψ2(x1)} がパウリ原理を満たす波動関数です. ψ1(x1) は1番目の粒子が波動関数ψ1を持っていることを表しています. ボソンに対しては,複号は+. フェルミオンに対しては, スピン関数が |↑↑>,|↓↓>,(1/√2)(|↑↓> + |↓↑>) のとき (すなわち合成スピンが1のとき)は複号が-, スピン関数が (1/√2)(|↑↓> - |↓↑>) のとき(合成スピンが0)は 複号が+です. |φ|^2 を(2)から計算しますと,4つの項が出ます. |ψ1(x1)|^2 |ψ2(x2)|^2 のタイプの項2つと ψ1(x1) ψ2(x2) ψ2(x1)* ψ1(x2)* のタイプ(cross terms)の項2つです. (1)の積分をやるときに,cross terms は直交規格化波動関数の性質から ゼロになります. したがって,残るのは第1のタイプの項だけで (3)  ∫|φ(x_1,x_2)|^2 dx_2 = (1/2) {|ψ1(x1)|^2 + |ψ2(x1)|^2} になります. 粒子2が今注目している場所にいる場合も考慮しないといけませんが, 計算は(3)を導くのと全く平行です. 結局,粒子密度は (4)  {|ψ1(x)|^2 + |ψ2(x)|^2} で,これが motsuan さんの結果です. なお,ボソン2個,あるいは合成スピン0のフェルミオン2個が同じ状態ψ1なら, (2)が (2')  φ(x1,x2) = ψ1(x1)ψ1(x2) となり,同様の計算で(4)で ψ2=ψ1 としたものになります. 直感的には,相互作用がない2粒子なのですから, 相手にお構いなくそれぞれの粒子が注目した場所にいる確率密度を考えればよいわけで, (4)はちょうどそれになっています. > ただ、非常に不思議なのは、お答えにスレータ行列式を代入すると、 > ボソンでもフェルミオンでも全く同じ空間分布となってしまいます。 > そういうものなのでしょうか? そういうものです. 疑問は,相互作用のないボソン系でもボーズ凝縮が起きる, あるいは理想フェルミ気体と理想ボーズ気体とでは圧力が異なる, などの点との関連でしょうか? これらはいずれも統計力学が関与した話で, 同じ状態(含スピン)に1個しか入れないか(フェルミオン),何個でも入れるか(ボソン), が分配関数に影響するために出てきます. 分配関数の計算には,あらゆる状態に関する和があることに注意してください. 今の話は,状態2つを決めた話です. なお,粒子間に相互作用があってそれを摂動で扱うなどの場合は cross terms が効いてきて複号がどちらかが重要な意味を持ってきます.

cuprate
質問者

お礼

詳しいご説明を大変ありがとうございます。まず、特定の系(特定の外場) だけではなく、一般的にフェルミオンとボソンで同じになることがよく わかりました。 ただ、フェルミオンとボソンで差が出ないのが不思議、と私が申しま したのは、有限温度(=統計力学)の話からの類推ではありませんで、 具体的には、よく、入門の教科書にポンチ絵が載っている、水素分子イオン の結合軌道と反結合軌道の絵なのです。あの絵は、結合軌道の方が、 中心部分に集まって描かれています。 (ただし、H_2^+ですから一体問題ですが) これが頭にあったので、スレータ行列の符号が変われば、電荷密度分布 も変わるかなあ、と思ってしまったんですが、、変わらないのですね。 これからも何卒よろしくお願いいたします。

その他の回答 (1)

  • motsuan
  • ベストアンサー率40% (54/135)
回答No.1

よくわからないでのすが、しかも、遅い反応ですが、なかなか回答がつかないので。 電荷をある場所に見出す確率という意味であれば 2つの座標で書かれているので 座標x1,x2(スピンも含む)に電子を見出す確率P(x1,x2)=|φ(x1,x2)|が決まって いるのであれば Σ{x2についての和}P(x,x2)+Σ{x1についての和}P(x1,x)-P(x,x) として重複を取り除けばよいような気がしますが粒子を入れ替えても 確率密度では区別できないので(それはφ(x1,x2)の対称性にすでに含まれているので) 最後の項-P(x,x)はいらないような気もします そこでフォック空間で考えて 座標x,x1,x2(スピンも含む)に対する基底をとって状態を |φ> = Σ{x1,x2の和}φ(x1,x2)a_{x1}^{+} a_{x2}^{+}|0> と表し(φ(x1,x2)は適当な規格化係数) <φ|a_x^{+} a_x|φ> を計算すれると予想したとおり Σ{x2についての和}P(x,x2)+Σ{x1についての和}P(x1,x) となってしまいました。本当でしょうか?

cuprate
質問者

お礼

ありがとうございます。専門家の方から答が返ってきまして大変うれしいです。 今後ともよろしくお願いいたします。 一瞬、フォック空間という単語にたじろいでしまいましたが、数表示のような ものなのですね。 質問を投稿してから自分でも必死に考えまして、二つのスピン<1|, <2| の磁化 (あるいはS_z)の値を求めるときの話のアナロジーを考えてある程度納得できました。 ただ、非常に不思議なのは、お答えにスレータ行列式を代入すると、 ボソンでもフェルミオンでも全く同じ空間分布となってしまいます。 そういうものなのでしょうか? 自分としては、ボソンの方が、中心に片寄った電荷分布が出て来ることを 勝手に期待したのですが、、、、。

関連するQ&A

  • 波動関数について

    量子力学に関しての質問なのですが、「量子力学の波動関数はどのように解釈されるか」という質問が大学の講義で出たのですが、「波動関数は粒子の存在確率を表す確率波」という解答であっているでしょうか。よろしければ教えてくださいm(_ _)m

  • 調和振動子の波動関数

    調和振動子のポテンシャル中にある相互作用していない2つの電子において量子数nのエネルギー固有状態を記述する波動関数ψn(x),スピン波動関数をφ^{±}とする。 I基底状態Etot=2*E1を記述する2電子波動関数を全てもとめよ II第一励起状態Etot=E1+E2を記述する2電子波動関数を全てもとめよ 上記の問題を考えているのですが,スレーター行列式に代入するとどちらも波動関数が0になって解が求まりません。 どのようにとけば2電子波動関数を求められますか?

  • 量子力学 同種粒子について質問です。

    量子力学 同種粒子について質問です。 問題 1粒子のとる、異なる2つの軌道波動関数φa(r)とφb(r)が存在するとして、2個の同種粒子が、それぞれφaまたはφbの状態をとるときの2粒子波動関数を考える。フェルミオン2個の場合、ボソン2個の場合のそれぞれに対して、要請される対称性に言及し、可能な波動関数の形をすべて示せ。粒子1の位置をr1、粒子2の位置r2とせよ。各粒子のスピンについては、書くフェルミオンのスピンの大きさは1/2であり、粒子1の上向きスピン状態をα1、下向きスピン状態をβ1、粒子2についてはそれぞれα2,β2とせよ。各ボソンのスピンの大きさは0とせよ。波動関数の規格化はしなくてよい。 上の問題に関して、この問題は「フェルミオンは反対称」「ボソンは対称」ということだけで答えを導くことはできますか? 例えば2つの粒子が同じ軌道にあるときにフェルミオンの場合はパウリの原理より同じスピン状態になれませんよね?この事実を反対称ということから導出できますか? フェルミオンとボソンのに対する要請は反対称と対称ということだけだと理解しています。パウリの原理はそれから導かれる結果ですよね? できれば上の問題に対する解答を考え方とともに教えていただけないでしょうか?

  • 摂動論を用いた波動関数

    電荷eを持つ一次元の粒子について Ho=p^2/2μ+μ^2x^2/2のハミルトニアンを考えます。電場によるポテンシャルはH1=eV=eεzです。 これの基底状態のエネルギーと波動関数を摂動論を用いて一次まで求めるのですが、エネルギーはなんとか求めることができました。さて波動関数についてですが、参考書をみると係数の求め方は乗っているのですが、係数がかかる波動関数の求め方がわからず困っています。ぜひ教えてください> <よろしくお願いします。

  • 波動関数と複素数

    量子力学初心者です。 いろいろ本を読んでみたのですが、波動関数を複素数で表すのは単に便利であるとか、オイラーの式とか、二乗すれば確率となる…など数学的には分かりますが、波動関数を複素数で表す直感的で本質的な理由はあるのでしょうか? また、電子などが粒子性と波動性を持つことと、波動関数が複素数であることは関係しているのでしょうか? 最後に電気・電子回路でも複素数を用いますが、単に便利さのためでしょうか? よろしくお願い致します。

  • 波動関数を求めてください。

    F(k)が図の写真のように波数k。を中心とする幅2/ρの区間だけで√ρ/2という値をもちます。ポテンシャルのない一次元軸上を運動する自由な電子を考え、波動関数Φ(x)=e^ikxという単一の波数であらわされるとします。 この波動関数Φ(x)をフーリエ変換を使って求めたいのですが、その際のF(k)はどのように表せばよいのでしょうか?? どなたか回答お願いします。

  • 粒子の波動関数について

    機械に弱くお手上げなので、どなたか教えてください。 問題は、 「井戸型ポテンシャルの中の粒子の波動関数を求め、基底状態からいくつかの固有値と固有関数をもとめよ」 です。 ポテンシャルエネルギーは、 V(x)=0・・・(|x|>a) V(x)=-V0・・・(|x|≦a) で与えられています。 この問題を、たとえば *運動方程式を積分する時* ――――― time stepを決める 初期位置と初速をあたえて ステップ数を決める do i=1, nstep ひとつのタイムステップを解く (ここでルンゲクッタ法のサブルーチンを使っても良い) 結果を出力する enddo(繰り返す) ――――― のような形でプログラムに書き下ろしたいのですが、どの様に書けば良いのか分かりません。 どなたか分かる方、よろしくお願いします。

  • フェルミ粒子と波動関数

    フェルミ粒子の波動関数はスレーター行列式で表されますが、これは波動関数の固有状態の積の形の線形結合で表されています。これはフェルミ粒子間の相互作用がない場合にしか成立しないと思うのですが、相互作用がある場合も成立するのでしょうか?

  • [量子力学] 重ね合せの係数の求め方

    お世話になります。 量子力学を勉強しています(初心者)。 ある波動関数 Ψ(x,t) が Ψ(x,t) = c1 Ψ1(x,t) + c2 Ψ2(x,t) のように複数の(正規直交の)波動関数の重ね合せで表されるとき、 c1 と c2 を求めるにはどうすればよいのでしょうか。 具体的には、例えば、無限の井戸型ポテンシャルの問題では いろんな量子数 n の状態が重ね合わされているかと思いますが、 何らかの方法で観測したときに n=2 が観測される確率を 求めるにはどうすればよいのでしょうか。 フーリエ級数なら、Ψ2 と Ψ の内積を計算すれば求まりますが、 今の場合Ψが不明なので内積が計算できないように思えます。 何か勘違いしているのかもしれません。 ご回答いただけると助かります。よろしくお願いします。

  • 波動関数のプサイとファイの違い

    量子力学で波動関数をΨ(プサイ)やφ(ファイ)で表しますが、これらに物理学的な意味の違いはあるのでしょうか? また、どちらが正式なのでしょうか?