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測度論の非可測集合って何?

stomachmanの回答

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  • stomachman
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回答No.1

逆指名は反則じゃないんですかぁ? 専門家もいらっしゃるでしょうに...うう、自爆じゃあっ。 非可測集合とバナッハ-タルスキーの定理。どちらも実務の計算とは無縁のものです。純粋数学の中にだけ現れ、直接の応用はないと思ってください。ご専門の方、ご笑覧の上フォローおねがいします。  長さ・面積・体積といった広がりを測る概念(測度)との関連で、無限というものの「曲者性」が現れた現象のひとつが非可測集合です。さて、非可測集合とは、という話は教科書を見ていただくとして(ルベーグ積分、測度論、ボレル集合、などをキーワードにして探してみてください)、ここではなるべくいいかげんな説明と、いかにへんてこであるかの例を示すだけで勘弁して戴こうと思います。(いや、勘弁して戴きます!とても易しくかつ正確に説明するなんてできないや。) ●実数の対(x,y)で表される2次元空間の話です。1辺1の正方形を考えます。面積は1ですね。  この正方形の中の点(x,y)のうち、xもyも有理数であるような点だけを集めた集合を考えます。この集合の「面積」はゼロ。もうびっくり? 有理数は自然数と1:1対応が付きますから、たかが可算無限個しかない。実数は非可算無限個。これに比べたら無視できるってわけですね。  今度は正三角形を考えます。各辺の中点を結んで小さい正三角形を描き、この真ん中の正三角形の部分を切り抜いて捨てます。そうすると小さい正三角形3つでできた図形(どこかの食料品店のマークのような)が残りますね。このそれぞれの正三角形について、真ん中の正三角形の部分を捨て、.....と無限回やります。これは「シェルピンスキーのガスケット」という集合なんですが、非可算無限個の点を含んでいる。そして面積は0です。(なんですと?)  ところが、それどころか、「面積」というものを考えることすらできないような集合がある。これが「非可測集合」です。  面積というのは集合Aから実数sへの関数 s = m(A) です。そして「面積」というからには、Aをいくつかに分割してそれぞれの面積を求め、合計したら、元のAの面積になって欲しいですよね。少なくとも、元のAの面積より大きくなるんじゃ話にならない。ところが、どんなに上手にmを作っても「話にならない」状況が起こってしまうことが知られています。そういうやっかいな集合Aを「非可測」と呼ぶ訳です。   ●2次元平面の部分集合Aであって、次の(1)(2)が同時に成り立つものが存在する。   (1)2次元平面上の任意の場所に好きな大きさの円盤を描くと(どんなに小さい円盤でも)    Aと円盤との共通点が必ず存在する。   (2)2次元平面上に任意の直線を描くと、この直線とAとは高々2点しか共通点がない。 このAは実は非可測集合の一例です。(1)から分かるように、Aは平面上あまねく広がっている。なのに、(2)からわかるようにすかすかなんです。幽霊みたいですね。 ●非可測集合は非構成的です。つまり、具体的な作り方(アルゴリズム)を記述することが不可能なんです。(もっとも、アルゴリズムが記述できる集合は可算無限個しかありませんが...) ●でも、ニアミスするまで迫ってみましょう。今度は1次元(数直線上)の「長さ」の話です。 「実数を二つ持ってきて、x, yとします。「xとyは仲良しである」とは両者の差 x-y が有理数であるという意味だ、と決めましょう。すると実数全部を、仲良しグループに分類することができます。このようなグループは無限個できます。各グループのメンバーは皆互いに仲良しですし、他のグループのメンバーとは仲良しではありません。どんな実数もどれかのグループに入ります。  次に、各グループから委員を1つづつ出して貰います。(ただし委員は0以上1未満であること、とします。)どの委員を2つ持ってきても、仲良しではない。委員全部を集めた委員会集合Aを作りますと、Aは非可測になります。」(どうして?というのはしんどいので勘弁してください。)  なんだ作り方が書けるじゃないか、と思われるでしょ?でも「どうやって委員を選ぶのか」が書いてない。これが実は本質的なんです。「てきとーでいいじゃん?」と、グループひとつひとつについて委員を選んでいたのでは無限個の委員を選び終わることができません。「グループのうち、0以上1未満である数の中で最大のやつを選ぶ」というのは良いアイデアですが、残念ながらグループ内に「1未満の最大の数」は存在しないんですよ。でも何か方法がありそう? 実は、ないんです。「存在することは証明できるが、やり方は本質的に分からない。」ここがポイントです。  数学の公理のひとつに、選択公理というものがあります。すなわち「選択公理:与えられた集合の中から、要素をひとつ選び出すことができる。」当たり前みたいな話でしょう?でもこの公理を使うと「(どうやってかは知らないけど)委員を選ぶことができる。そこで...」と論を進められます。そしてその結果、「非可測集合」や「バナッハ-タルスキーの定理」など、へんてこなものが出てくる。でも、選択公理を拒絶すると、数学のパワーがまるで弱くなる。証明できることがもの凄く少なくなってしまう。数学のかなりの部分(しかもおいしいミソの部分)は選択公理がないと成り立たないんです。(「選択公理なしでどこまで行けるか」という研究分野があるからこそ、こういう事が分かったんです。) ●こういった話は、数学基礎論(「基礎的な数学」ではなく、数学の基礎となる前提に変なところはないか、などを研究する分野)です。「超限集合論」「選択公理」「連続体仮説」「不完全性定理」などなどについて、色々一般向けの解説書が出ていますが、著者ごとに説明の仕方(読者から見れば疑問のポイント)が違いますので、乱読をお勧めします。ちなみにStomachmanが数学基礎論と出会った最初の書物は「(島内剛一)数学の基礎」(既に絶版)でした。 ●なお、可測集合(面積が定義できる集合)の中にも変なのはいます。  1辺1の正方形の部分集合Aであって、面積は1であり、しかも、この集合Aに含まれるどの点(x,y)についても、「(x,y)を通り、しかも(x,y)以外ではAと交わらないような直線が少なくとも1本引ける。」そういう可測集合Aが存在する。  つまり、Aはほとんど完全に正方形を埋め尽くしているというのに、A内のどの点からも、A自身に遮られずに外が見える、ってわけです。(わーい。こうなってくると、もうわかんないや。)

mori0309
質問者

お礼

何回も読みましたが、素人の私に理解できるハズがありませんでした。以下はひとり言です。 stomachmanさん、気にしないでください。自分でコツコツ考えます。 1.有理数の点の集合には面積がないというのは、それが非連続だからだろうか? 点自体には面積は   ないのだから連続していなければ「広がり」をもちようがないのかな? 2.「シェルピンスキーのガスケット」の場合の三角形のくりぬき方では、無数の三角形の斜辺の線自体が   欠損することはないから、結局、網目のような線だけがのこり、面積はゼロだが残った線上の実数は   非可算無限個である、ということなのかな? 3.面積が非可測とは構成する点が連続なのか非連続なのか知る方法がないということなのかな?   「アルゴリズムを記述することが不可能」とはまさにそういうこと? 4.選択公理がないとは、たとえば「目の前に群集はいるのに、その中の誰か一人を呼んで舞台の上に   上げようと思っても、その呼び出し方が決められない(存在しない)」ということかな? 「連続」っていうことは本当に不思議なことですね。考え出すとやめられないです。これは、きっと 宇宙の神秘そのものかもしれません。けっして数学者の遊びの世界なんかじゃないと思うのですが。

mori0309
質問者

補足

stomachmanさん、すばやい回答ありがとうございました。回答者を指名するのはルール違反なのでしょうね。ゴメンナサイ。回答していただいた内容を小生のつたない頭で、いっしょうけんめい理解しようとしているところです。

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