• ベストアンサー

時間の反対語は

なぜ「時間」の反対の概念が「空間」なのでしょうか。哲学を知らない私にも分かるような説明は可能でしょうか。

質問者が選んだベストアンサー

  • ベストアンサー
  • starflora
  • ベストアンサー率61% (647/1050)
回答No.2

    これは色々に考えることができる問題です。「空間」と「時間」が反対概念あるいは反対語であるというのは、少し置いておいて、空間や時間を哲学では、どう考えていたのか、省みることが意味あるでしょう。     有名なアウグスティーヌスの言葉に、「私は、時間とは何かを問われない時には、時間とは何かを知っている。しかし、時間とは何かと問われれば、私は知らない」というのがあります。時間は誰にとっても自明なものとしてあるが、理性的に省察しようとすると、実体・本質は何かと、哲学的に問うと分からなくなるということです。     もう少しおおざっぱに言いますと、空間とは、「ひろがり」で、そこに様々な事物(レース)が配置されて関連を持って現れている場であると言えます。では、時間とは何かと云うと、事物や事物の相互関係が「変化する」という現象的事実から、「変化」の背景にある原因として「時間の経過・時間の流れ」というものが考えられたのです。時間を歴史と言い換えれば、歴史のできごとは、社会のそれも、個人のそれも、時間という場のなかで、展開しているということになります。     英語の space のことを、時に「宇宙」とか「宇宙空間」と訳します。これは元の space がそういう意味を持つからですが、「空間」というのは、「世界(コスモス・ムンドゥス)」のことだとも言えます。世界のなかで、時の流れにおいて、歴史が生成され展開して行く。さっき上で、時間が歴史の場だとも言いましたが、実は、世界=空間という場(トポス)あるいは舞台において、できごと・歴史というものが展開され、この歴史の過程にあって、空間・世界の「どこ」とは違う、「いつ」があるのであり、「どこ」と「いつ」と「何」によって、この存在の宇宙とその歴史は構成されていると言えます。「何」というのが、存在物であるなら、存在物は、人間も含め、「空間」という場と、「時間」という場のなかに存在して生きているということになります。     こうして、人間も含め、事物・存在者は、ひろがりの場としての「空間」と、変化の場としての「時間」のなかに存在し生きているとなるので、「空間」と「時間」が反対語というか、対概念になっているのです。     また、中世西欧の存在論では、存在物は、神から「存在(エッセ)」というものを与えられて、初めて、現実の存在(現実存在=エクシステンティア)になると考えました。神からのエッセの付与は、瞬間瞬間にあり、この不断のエッセの分与が、存在物を存在たらしめていて、神のエッセの分与のあいだには、「時間のない」永遠があるともされます。また、神のエッセの分与がなくなる時、存在物は、「無」となります。不断のエッセの分与が「時間」を構成するのです。そして、存在物は、神の創造した世界=空間に存在を続けるのです。ここからも、存在物の場としての世界=「空間」と、不断のエッセの分与において成立する「変化する存在の現実存在」=「時間」のなかの存在者としての事物・人間という考えが出てきます。     また、インドの思想では、「空間」は事物がそこにある場であるのですが、事物は、空間のなかで、変化することなく存在するのではなく、「刹那」という時間の最小単位において、刹那から刹那へ、存在と消滅を繰り返し、この繰り返しのなかで、事物の「変化」があると考えられました。つまり、ここでも、変化の場として「時間」が考えられている訳で、時間と空間が、このようにして対立実体・概念となるというか、「この世」をあらしめている二つの基本の「場・背景」ということになります。(仏教の時間論も、インドのこの考えを共にしています。というか、仏教思想が、「刹那」などの考えを展開させたとも言えます)。   --------------------------     現代の物理学では、特殊相対性理論では、時間と空間は、別個のものではなく、「時空(Time-Space)」という統一体の二つの側面だとされます。ローレンツ変換では、時間の次元成分と空間の次元成分が、入り交じります。相対性理論では、時間が延びるとか、空間が縮むというのは、時空としての現象だとされます。     しかし、時間と空間は同じものかというと、相対性理論でもこれは別個のもので、物理学の次元計量では、空間の次元を普通の「実数」としますと、時間の次元は、「虚数」となります。三つの次元は、相互に回転可能であり、それぞれの次元は、実数ですが、時間もまた三つの空間次元と共に、相互に回転可能であっても、時間は、量としては、空間の距離に対し、「距離の虚数」が「時間の単位」となるので、「時空」を構成するのは、三つの同じ性質の空間次元と、もう一つの虚数次元の「時間」であるとなり、実数量の反対が虚数量とすれば、「空間」と「時間」は、反対関係にあるとも言えるでしょう(計量次元の異なる補完次元だとも言うべきかも知れませんが)。こうして、現代の物理学でも、空間と時間は、或る意味の反対場・反対概念となります。   なお、これは、「空間」と「時間」を反対概念として把握する考え方のありようで、時間や空間については、もっと色々な把握・考え方があります。   

brucelee
質問者

お礼

必死で考えましたが、まだ咀嚼し切れません。プリントアウトして、壁に貼って考えます。貴重な「時間」ありがとうございました。

その他の回答 (2)

  • ursid21
  • ベストアンサー率35% (5/14)
回答No.3

私も哲学をよく知らないのですが,それなりのイメージで「時間」の反対の概念が「空間」であることをなんとなく納得しています. たとえば「父」の反対は何かと聞かれたら私は「母」と答えます. おそらく大多数の人も同じように答えることと思います. 対をなす概念とは,必ずある共通点でくくられながらもその中にあってある観点では対極を成す2つの関係だということを考えてみます.するとこの場合「父」も「母」も「親」であるという共通点を持っており,「性」という観点でみたときには「男性」と「女性」という相対するものにそれぞれ属することから「反対である」ととらえられるのです. 「時間」も「空間」も,いま認識している私たちの世界が成り立つために必要な物理的現象だと思います.その意味でこれらは共通しています.そしてこの2つと並列を成すような現象なり概念は多くの人にとっては無いはずです.つまりこの2つを対極としてとらえても差し支えないということです. こんな風な考え方で,私は「時間」の反対が「空間」だということをそれなりに納得しています. あとひとつ思いついたのが,地層の例です. 「縦」の反対が「横」であることに疑いを持たない人には,わかってもらえると思います.地層の「横」の広がりはその層が堆積した当時の空間的連続性を反映しており,また「縦」の重なりは時間的連続性に支配されています.このことを考えると,何となく納得してしまいそうになりませんか? (ちょっと強引な説明かも・・・f(^_^))

brucelee
質問者

お礼

おお、これなら分かる!!!とくに地層の話は、私にもわかりました。ありがとうございました。

  • ADEMU
  • ベストアンサー率31% (726/2280)
回答No.1

哲学を理解できない私が考えるに、「時間」は4次元、「空間」は3次元であらわせるからではないでしょうか。「空間」が移動することによって「時間」が成り立っているのではないでしょうか。「空間」が「時間」を伴わずに移動ができれば、いわゆるSF小説にもでてくる「ワープ」の理論なのでしょう。 つまり、「空間」が止まっているときは「時間」はないに等しく、「空間」が移動しているときは「時間」が存在している、と私は考えます。・・・難しい!

関連するQ&A

  • 「時間の反対は空間」について

    ずっと前に塾で、時間の反対は空間だと教えられました。 これが合ってるかどうかはよくわかりません。 あとなぜ時間と空間は関係してるかもよくわかりません。 だから誰か教えてください。 ちなみに僕は哲学はそれなりに好きです。

  • ア・プリオリの反対語

    哲学用語の「ア・プリオリ」,これの反対語を教えてほしいです. よろしくお願いします.

  • 時間って?

    昨晩から、というかかなり前から考え続けていることがあるのですが、結論が出ず、どうにも悶々としています。 それは、「時間が単なる便宜的な概念であることを示すには、『物体が移動する』ということを時間という概念抜きで説明すれば早いのではないか」ということです。 何かもう一人で悶々していてもどうにもならない気がしてきたので、 皆さんのお力添えを賜りたく、こちらに参ったというわけであります。 【『物体が移動する』ということを、たとえば「空間・物体・エネルギーという三種類の要素のみを用いて」合理的に説明することはできないのでしょうか。】 というのが僕の質問です。 もし宜しければお付き合い下さい。 (「物体の移動」は、「現象の変質」とか「具体性の変化」とかでもいいです。 言いたいことを的確に言い表せない自分の語彙力の乏しさが恨めしい^^;)

  • Time is not 'spatial'.の訳し方

    上の文はベルクソンの哲学について述べられた文章の一節です。どのように訳せばよいのか困っており。質問させていただきました。 「時間は空間的ではない」では訳になっていないので、「時間は『空間』ではない」とやってみたりしたのですが、「それじゃあ、当たり前のことをいっているだけだ」というわけで逡巡しております。 この前の文は、「ベルクソンの主張するところ、人びとの記憶を引出しや貯蔵庫として見るべきではない。というのも、これらの概念は空間に基づいた、時間の誤った概念化によるものだからだ。」といった感じです。 よろしくお願いします。

  • 時間と空間について

    時間は継起的な存在で、空間は同時的なものといわれていますが、どうして時間と空間は交わるのか?そして私たちは時間と空間が交差するところに生きているということですが、それは一体どうゆうところなのか?ほんとにわからなくて困ってます(>_<)哲学に詳しい人、理解の手助けをお願いします!

  • 【哲学】時間は過去で空間は未来ですか?それとも時間

    【哲学】時間は過去で空間は未来ですか?それとも時間が未来で空間が過去ですか?

  • 「実学」の反対語ってなんでしょうか?

    こんにちは。 実学の反対、例えば哲学や思想学、などがあたるのでしょうか。 それらを表す言葉(実学の反対語)を教えていただきたいのです。 また、実学を「生活に役立つ応用科学」と定義した場合、排反事象は何になるのでしょうか?(全体Uは科学(の種類)) よろしくお願いします。

  • 新書 時間について 哲学系

    昔読んだ、新書で(出版社不明、、)時間の概念を丁寧に説明した哲学系の本のタイトルを忘れてしまい、探しております。 過去に戻れないのはなぜか(時間が進むのは、選択肢という可能性が増えていくこと、というような説明をされていたのを覚えています) ですとか、時間のパラドックスとかも、載っていたような。。 もし似た内容での新書をご存知の方はぜひ教えて下さい。 難しい内容ではなく、とてもわかりやすくて面白い本でした。 よろしくお願いします。

  • 反対概念

    みなさん、次の反対概念を教えてください。 (1)本数(数) これの反対概念とは何があるんでしょうか? 確実じゃなくていいので、思いつくものがあれば良かったら教えてください。

  • 優しいの反対語を教えてください。

    <優しい>の反対語を教えてください。厳しい、怖いは、これに相当しますか?例えば、先生が優しい。の反対は、先生が厳しい。先生が怖い。なのだと、小2の子供達はいいます。どう説明をしたら良いのか迷ってます。教えてください。お願いします。