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歴史的仮名遣いでの小文字表記について
歴史的仮名遣いで促音の「つ」を表記する場合、「ゆったり」でなく「ゆつたり」というように「つ」を小文字表記にしませんが、同じ文中でもかたかなの言葉の場合(外来語?)は「シルエット」などと小文字になっています。拗音の場合はどうなのでしょうか。歴史的仮名遣いでの小文字表記について、その根拠や決まり等を教えてください。
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現代仮名遣いは国が定めたものですから,きちんとした(明文化された)ルールがあります。 たとえば,こちら。 http://www.bunka.go.jp/kokugo/ (「内閣告示・内閣訓令」をクリックすると,現代仮名遣いを初めとする各種の国語表記に関する基準が見られます。) 一方,歴史的仮名遣いは,「仮名遣の基準を、現代の発音によらず、古文献におくもの。契沖の整理に従って、ふつう規準を平安初期におく。」(広辞苑)というだけであり,「公式の歴史的仮名遣い」というものはありません。 (しいていえば,戦前の国定教科書の書き方が一つの基準にはなっていたといえましょう。) 小文字表記についても同様で,歴史的仮名遣いにおける扱いに関する「根拠や決まり」といえるオフィシャルなルールはないと思います。 ですから,昭和21年より前は拗音・促音は全部大文字(他と同じ大きさの文字)で書かれていたというわけではなく,戦前に出版された図書でも,特にこども向けの,漢字がほとんど出て来ないような絵本では,拗音・促音が小文字表記されている例も見られます。一種の教育的措置でしょう。 また,一般向けの図書でも,特に外国の人名・地名などは,拗音・促音がしばしば小文字表記されています。 ただ,慣習として大文字表記が一般的だったのは事実です。 たとえば,手元に昭和8年の新聞に載った雑誌の広告がありますが,「ストツプ」「ヒユーズ」「コムミユニズム」「キヤバレ」などの大文字表記がある一方,同じ雑誌の広告の中に「スケッチ」「マニュファクチュア」などの小文字表記も混じっています。「ブロック」「ブロツク」は両方見られます。 これは,和語・漢語であれば,小さい子は別としてある程度日本語の読み書きができる人なら「や・ゆ・よ・つ」が直音なのか,拗音・促音なのかは,単語の意味からおのずと判明するのに対して,外国の地名・人名,外来語などは必ずしも明確でないため,拗音・促音を小書きにして区別する場合もあったものと考えられます。 アルコールの「ウオツカ」は,ロシア語のводка(vodka)から来ていますから,本当なら「ウォツカ」とでも書くべきものでしょうが(実際,「広辞苑」はその書き方を採用しています), 全部大文字書きされてしまったため,かえって「ウォッカ」と読む人が多いですね。 現在も歴史的仮名遣いで文章を書かれる作家の一人に,丸谷才一さんがおられますが,彼は「わたしの表記法」のなかで, 「促音・拗音は小さくしない。例。あつさり。キヤツキヤツ。 ただしカタカナの外来語の場合は促音・拗音を小さくする。例。ヨーロッパ。カチューシャ。」 と述べておられます。 決して「直し忘れた」わけではありません。 なお,1946年の現代仮名づかいでは,拗音・促音は「なるべく小さく右下に書く」となっており,1981年に改訂された現代仮名遣いでも,拗音・促音は「なるべく小書きにする」となっています。 言い換えれば,現代仮名遣いでも,拗音・促音を大きく書いてもかまわないのです。 このため,法令の条文は,口語体・現代仮名遣いになった戦後も,拗音・促音を大きく書いていました。 たとえば,公職選挙法(昭和25年)第1条。 「この法律は(中略)、その選挙が選挙人の自由に表明せる意思によつて公明且つ適正に行われることを確保し、もつて民主政治の健全な発達を期することを目的とする。」 ただし,その場合でも,外来語などは拗音・促音を小さく書いていました。 拗音・促音が小書きされるようになったのは,昭和64年(平成元年)1月からです。ただし,それ以前の法律を部分的に改正する場合は,書き方が混在すると見苦しいので,それ以降も大きく書いています。
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- hatikou2
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昭和21年に定められた現代仮名遣いによって、促音は小文字表記となりました。それまでは他の文字と同じ大きさの表記となっています。なので、「シルエット」の例も「シルエツト」と表記されるべきではなかったかと思います。出典を見ていないので想像ですが、現代の人が歴史的仮名遣いで書こうとして、カタカナ部分だけを直し忘れたのではないでしょうか。 拗音も同じです。ともかく、昭和21年までは原則歴史的仮名遣いですので、ひらがな・カタカナに関わらず「ちょうちょう」は「てふてふ」「テフテフ」と表記されていたと思います。
お礼
ありがとうございました。
お礼
たいへんよくわかりました。ありがとうございました。