陶器と磁器の大きな違いは、その原料となる粘土の違いです。
つまり、陶器はカオリンを含まない粘土(土質)を低温で焼いて作られるのに対し、磁器は石質即ち長石が主成分を成している磁土を高温で焼き使うのが大きな特徴です。
陶器の起源は古く原始時代の土器から始まりますが、磁器が発明されたのは比較的遅く、北宋(960~1126)の景徳皇帝の時代(=景徳年間と称す1004~1007)ころと言われています(その磁土は、近くの「高領山」から採掘し、今ではその観音「カオリン」が磁土そのものの代名詞となっています)。
陶器を土もの、磁器を石ものというように、陶器は暖かい味わいや表面の素朴な風合いが楽しく、逆に磁器は白くガラスのような滑らかさ硬質さが魅力です。
具体的に陶器にはどんなものがあるかというと、日本ではたぬきの置物で有名な信楽焼き、萩焼き、備前焼きなどがあり、西洋ではデルフト焼きなどです。
磁器のほうは、普段よく見掛ける美濃焼きや骨董で人気の伊万里、西洋ではマイセンやリチャード・ジノリが製造しているようなツルツルとした表面のもの、中国や韓国の青磁や白磁と呼ばれるものなどです。
ちなみに、ウェッジウッドやロイヤルドルトンと言ったブランドが作っている乳白色のなめらかな焼き物は「ボーンチャイナ」といい、陶器でも磁器でもありません。1800年頃にミントンが発明した「牛の骨を焼き込んだ焼き物」のことで英国食器の代表選手ともいえるでしょう!
陶器と磁器、ボーンチャイナはお手入れ方法も違うので、素材の違いを理解して楽しむことをおすすめします。
なお、値段は一概に磁器のほうが陶器よりも高いとはいいきれないかもしれないですね。というのは、名のある陶芸家の作った陶器は、大量生産の磁器の何百倍することもありますから。
ここからは余談ですが……。
白く、透明性に富み、吸水性が無く、硬質である磁器の製法が、中国、日本からヨーロッパへ伝わったのは18世紀初め。双剣マークで世界的に有名なマイセンの元となった釜で、ポーランド王ポーランド王ザクセン選挙侯アウグスト2世が練金術師ベトガーと、数学者で科学者でもある右名なチルンハウゼンを幽閉して作らせたのが最初ですが、それまで「東洋の磁器」といえば宝石と同じくらいの価値をもったすっごーい宝ものだったのです(そのころのヨーロッパのお城には東洋の磁器で飾り立てた「磁器の間」があったくらいです。マイセンが東洋磁器に似ているのは、東洋磁器をなんとかして真似ようとがんばったからです)。
だからお友達の中国の人は、誇り高い製造の歴史を持つ磁器と(簡単に作れる)陶器の違いをわかったほしかったのかもしれませんね(^-^)
お礼
ものすごく、詳しいですね。 陶芸の先生ですか。 おかげで歴史もわかり、海外旅行に行くときの 勉強になります。 ありがとうございます。