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動物の本能と経験知
生まれつき持っている能力や資質のことを「本能」と言いますよね。 思いつくままの例でめちゃくちゃかも知れませんが、「昆虫の変態」とか「鮭の遡上」とか「蜂のダンス」とか「動物の発情期」とかは、遺伝子レベルで行動パターンとしてプログラミングされているものと考えていいのだろうと推察しています。 しかし、例えば「熊の冬眠」などは、親から学習することもあるように思うのですが、これも本能なのでしょうか? また、春に北上し秋に南下する渡り鳥は、多くの場合「群れ」で行動すると思うのですが、たとえ一羽でも「渡り」をするような本能を持っているのでしょうか? 知性というか、脳の大きさなども関わってくるでしょうし、進化の過程で獲得した習性みたいなものは、後天的な本能(と呼んでいいのかどうかもわかりませんが)なのかもしれませんが…。 生物学的知識が全然無いので、おかしなことを言ってるかもしれませんが、そもそも「本能」と「経験知」に明確な違いがあると考えている前提そのものが正しいのかどうかもわかりません。 質問内容が不明確なので整理すると、「本能」と「経験知」はきっちりとした線引きが可能なのか、またその境界線についてどう考えたらいいのか、ということです。 よろしくお願いします。
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私も素人ではあるんですが、こういったことに興味があり、議論したことがあります。 冬眠は、環境(気温など)によって脳内に特定の物質(メラトニンとかだと思います)が多量に分泌されるのがきっかけになっていたはずです。 つまりは体の動きが自然と鈍くなるので、活動そのものをセーブする(土の中にもぐりたくなる)という本能だと言えるでしょう。 生きているかどうかの判別も困難なほどに心拍数を落すんですからこれは学習では無理です。 渡り鳥についてもまた同様かと。きっかけは気候の変化で、そのまま動かなければ本能的に生命の危機を感じるはずです。 「本能」と「経験知」の区別は、現実的にはかなり曖昧でも、理論上は区別できますよね。生まれつき持っている性質とか能力のことなんですから、遺伝子が解明されれば区別できることになります。 で、ややこしいのは「経験知」の性向もまた「本能」であると言えることです。 つまり、学習する対象も、自分にメリットのありそうなものになると。 例えばネコなら、猫じゃらしのようにチョロチョロ動く物には過敏に反応するのは本能ですが、それが食える物かどうかの判断は学習による、というわけです。全くゼロの状態からは学習もできませんからね。
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- ita-roo
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#1です。 時間があったので少し補足と余談を。 物理学者のローレンツは知ってますが、この分野では…どうでしょう。 #2さんの紹介された渡り鳥の例をモチーフにしたような映画で、『グース』という作品があります。面白いので是非どうそ。 >こうしたことは、特異な環境に置かれたために、本能が壊れたとみなして良いのでしょうか? 本能が、脳にプリセットされた行動原理とするなら、それが壊れるということはまずないでしょう。正確には「正常に機能しない」ということだと思います。 例えば、家から出した事のない犬と、毎日散歩に連れ出している犬を、それぞれ家から遠く離れたところにおいてきた場合、同じ質の帰巣本能を持っていたとしても結果は大きく違うはずです。 本能とは極めて単純なベクトルを与えるだけのものにしかすぎないと、私は思っています。 生きるために食欲という本能があるわけですが、現代の多くの人が栄養過多で不健康な方向に向かっているというのは、あくまで本能は自然界の然るべき刺激と環境において健全に機能するものということがわかります。 性欲もまた同じですね。あるべき情報(刺激)がなかったり、その逆だったり。 ちなみに、動物園のパンダなんかはほとんど子育てをしないと聞きました。
- suiran2
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「本能」と「学習」といった2つの行動は明確に線が引けます。学習させなくても可能な行動が本能行動です。ある動物園のゴリラにポルノを見せて性行動を学習させたと言った笑えない事実もあります。 「本能」と「学習」といった2つの行動の違いを,質問者さんが指摘している鳥の渡りで説明します。渡りは「本能行動」で渡っている鳥と,「学習行動」で渡っている鳥がおります。 ガンやツル等の大型の渡り鳥は,殆どがその渡りは「学習」です。自然の状態では親鳥から渡りを学習し,渡りが行われます。ですから人工繁殖したそれらの鳥は,飼育者がモーターグライダー等で渡りを学習させたり,渡りをする他の鳥と一緒に渡らせたりしまして,初めて渡りが可能となります。 方や小型の渡りをする鳥の多くは,「本能」で渡りを行っています。人工繁殖しましても放してやれば誰に教わることなく自らで渡っていきます。
お礼
「鳥の渡り」と一口に言っても、それぞれ違いがあるなんて初めて知りました。とっても勉強になります。 >ガンやツル等の大型の渡り鳥は,殆どがその渡りは「学習」です。自然の状態では親鳥から渡りを学習し,渡りが行われます。ですから人工繁殖したそれらの鳥は,飼育者がモーターグライダー等で渡りを学習させたり,渡りをする他の鳥と一緒に渡らせたりしまして,初めて渡りが可能となります。 このご説明は特におもしろいエピソードですね。こうした実験をした人がいるんですね。もしかして、ローレンツとか言う人ですか? 違うかな? >「本能」と「学習」といった2つの行動は明確に線が引けます。 ということで、もう私の質問の答えは得られたと思いますが、例えば、動物園で生まれ飼育された動物が生殖活動をしなくなったというような話を耳にすることがあります。 こうしたことは、特異な環境に置かれたために、本能が壊れたとみなして良いのでしょうか?
お礼
大変勉強になります。そして、大変おもしろいです。 特に、「経験知」であれ「本能」であれ、生命の危険を回避するシステムであるから、自己の生存にメリットがあるという点で混同しやすいというご指摘は、大変わかりやすいです。 「現実的にはかなり曖昧でも、理論上は区別できますよね」という点も、個々の事例に照らせば(冬眠のご説明のように)すっきり説明できるということがよくわかりました。 ありがとうございました。