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同主調の記譜(クラシック)

例としてベートーベンの月光ソナタをあげます。 3楽章は嬰ハ短調(#4つ)ですが 途中で嬰ハ長調に一時的に移行しますよね。 そこの記譜なのですが #4つに臨時調合をつけて 嬰ハ長調を表現していますが  変ニ長調(♭5つ)の表記も可能ですよね? 同主調への転調の場合にどう表記するか 決まった規則はあるのでしょうか? すぐに元の調に戻る場合は臨時記号でも かまわないとか(調合の少ない表記が原則ですか?) 御存知のかたよろしくお願いします。

  • ennkai
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  • 音楽
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質問者が選んだベストアンサー

  • ベストアンサー
noname#231526
noname#231526
回答No.19

 まだ書き込めるようですので、もう少し補足しておきます。おそらくCのご質問に関する領域が入っていると思います。  埃をかぶった試料を多少引っ張り出して古い記憶を少し整理してみました。  音律における理論の多くは、鍵盤楽器を前提にしているものが多く、その場合、本来異名異音である二つの半音が自動的に一つの音に押し込められることになり、異名同音として取扱わざるを得ないことを前提で話が進んでいることがほとんどのようです。ですから、その音律における論議では異名同音が本来違う音だというところは無視されて進んでいくようです。バイオリンのように無段階に音程を調節できる楽器では、異名異音を意識することがむしろ当然という考え方で話が進んでいるようです。  平均率以外の音律では、調が変われば、同じ音でも高さが変わってくるので、話がはなはだ複雑です。それをできるだけ無理なく押し込めるためにいろいろな人が知恵を絞って、結局は平均率に押し流されていったというのが大きな流れだと思います。  ヨアン・アルベルト・バン(?~1644)という音楽理論家・作曲家の人が、(自称)「完全鍵盤」というチェンバロ用の特製鍵盤を開発しています。これは、CとDの間に二つの鍵、Dにも二つの鍵、DとEの間にも二つの鍵……、というものです。つまり鍵盤楽器における1オクターブに12音という制約を乗り越える試みです。見るからに一々弾き分けるのが大変そうな楽器で、結局主流にならなかったのは歴史の示すとおりです。日本の田中正平さん(1862~1945)という人が「田中式純正調オルガン」という楽器を考案していて、これもバンの楽器とほぼ同様のようです。ただバンの楽器より進歩している点として、「移調装置」「転換柄」というものが付いていて、全体をいきなりシフトして全12調に対応、さらに微調整可能というすぐれものだそうです。1つの調において1オクターブに鍵盤は21種だが実際には46音使い分けることが可能だそうです。使いこなせればものすごいことだと思いますが、使いこなすのはかなり大変そうです。  バイオリンの場合、4つの弦を5度ずつ離れて調弦するのですが、ぴったりとピュタゴラスで取るか否かというところから選択肢が別れています。ピュタゴラスで取っておいて、開放弦は使わないで自分で音を取るとしたとき、その取り方に大きな時代的流れというものがあって、まとめていうと「18世紀中頃まで、長3度は純正に演奏された。シャープ音はそれと異名同音のフラット音より低く演奏された」「18世紀中頃近くから以降は、シャープ音は異名同音関係のフラット音より高く奏され始めた」「19世紀の大きなオーケストラでは、固定音楽器との妥協をせざるを得ず、また楽曲の異名同音的転調などの要請もあり、半音に調整を必要とされ、次第に平均率へと傾いていった」のだそうです。(パトリツィオ・バルビエーリ著「ヴァイオリンの音律――歴史的概観」沖野成紀訳から勝手にまとめ)。  ロックやポップスについてはまったく門外漢ですが、すでに平均律の時代なのではないのでしょうか?でしたら、どの調にどのように転調しようとも少なくとも演奏上の問題はなさそうです。 以上、補足でした。

ennkai
質問者

お礼

ありがとうございます Cの質問の内容をくみとってくださいましたね! 自分の表現が下手でもうしわけないです。 「完全鍵盤」→楽器として存在していたというのが なんというかすばらしいです。 使いこなすのは難しいのでしょうが 鍵盤でも異名異音が演奏できるなんて。 当初の質問から様々な疑問がでてきて それにお答えくださって感謝です。

その他の回答 (22)

回答No.23

>「この内容を踏まえるとかけはなれた調への転調はいきな>りせずに近親調への転調を繰り返して行う。」 >(C→F#ではなくC→Am→Bm→B→F#) あくまで、現代の曲(歌謡曲等)では、それが良いと思われたならそれは自由かもしれませんが、  バロック派,古典派,ロマン派あたりは、そういう複雑な転調のし方はありません。200年以上も前の作曲家が未だ現行で演奏されることは、なにしろ偉大です。  転調するにしても、同主調・平行調(同じ調号、長調短調の関係)・下属調(第4音を主音とする)・属調(第5音を主音とする)とある程度決まっています。  バロック、古典、ロマン、近代と分けられますが、その時代によってどんどん作曲の傾向が変わっております。モノフォニックやポフォニックのような音楽が、時代の移り変わりとともに、繊細でロマンチックで上品で、、、そんな感じがいたします。  ショパン作曲/幻想即興曲をあげますと、 「cis moll」が、転調して「Des dur」となっているのが分かると思います。同主調でありながら、cisがDesに変わっています。これも、ショパンの作曲上、フラット系の調が良いと思われたのでしょう。なにかこの調は、落ちついて、広がり感が感じられます。冒頭の雰囲気とは別に幻想的な雰囲気をより出したいと思ったからでしょうか。それか、ヴェルクマイスター音律でそれが良いからなのか?(ショパンが使用していたらしい音律です。) 下に、「MIDIによる調律法ききくらべ」というのがあったので書いておきます。MIDI(GS音源)が聞ける環境であれば参考にしてはどうでしょうか。 それと、上の事でなにか間違っていることがありましたら、どうぞご指摘下さい。

参考URL:
http://www.music.ne.jp/~murashin/muraobjct12old.htm
  • terra5
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回答No.22

>その程度なら平均率以外でも >違和感ないのでしょうか? 平均律以外でも24全ての調を演奏できる音律はいくつもあります。 バッハの平均律クラヴィーア曲集ってのが、 24全ての調を使ってかかれていてます。 また、平均律というのが誤訳で、本来は全ての調がうまく弾ける音律というような意味でした。 ベートーヴェンもモーツァルトもショパンもそういう音律を使っていたと言われてます。 まあ、平均律より悪いようなのはCDにはなってないと思うので、安心して聞いてください(笑) 多分、チェンバロの独奏曲の方が調律が記載されているのが多いと思いますし、聞いていても違いがわかりやすいと思います。 私は調律違いの演奏並べて聞きでもしないと、よくわかりませんけど(^^; あと音律もいろいろありますが、大体がハ長調が和音が純正に近く、調号が増えるほど和音の純正度が下がるような傾向にあったので、 かなり調による性格みたいな物がでてきて、作曲者はそれを意識して調を選んでいると言われてます。 また、それ以前に主流だった音律(ミーントーン)でもたしか6つぐらいまでは転調可能でした。

ennkai
質問者

お礼

「あと音律もいろいろありますが、大体がハ長調が和音純正に近く、調号が増えるほど和音の純正度が下がるような傾向にあったので、 かなり調による性格みたいな物がでてきて、作曲者はそれを意識して調を選んでいると言われてます。」 ↑このお答えは非常に勉強になりました! 「この内容を踏まえると かけはなれた調への転調はいきなりせずに 近親調への転調を繰り返して行う。」 というのが実感として分かります^^ (C→F#ではなく C→Am→Bm→B→F# こんな具合ですかね)

  • terra5
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回答No.21

>楽譜やCDにも調律の記載があれば 助かりますね。 >平均率以外の演奏も聴いてみたくなりました。 バロック(バッハ、ヘンデル、テレマン、パッヘルベルとかそれ以前の音楽)でよければ、平均律以外の演奏はかなりありますよ。 他の楽器がまざっている場合、音律は特に決められないため無いと思いますが、 チェンバロ(ハープシコード)、パイプオルガン等の鍵盤楽器のみの演奏の場合は調律が記載されている場合もあります。 あと、音律を選ぶのは演奏者ですので、楽譜にかかれることは無いでしょう。 ショパンとかモーツァルトとかピアノでもあったように思いますが、こちらの方が数は少ないと思います。 あと、ピアノは調律の話は実はかなり複雑で、 通常平均律そのものではなかったりしますし、 平均律以外を元にしている場合も多いとかで、 純粋な平均律を聞くのもある意味難しいです。 電子楽器の類が一番確実でしょう(^^; >調号が着く順番を覚えていくのには >音律関係なく五度圏をつかっても問題ないですか? 音律は全く関係ありませんから、問題無いです。

ennkai
質問者

お礼

回答ありがとうございます。 CDなんとか探したいと思います。 バッハなんかは最初短調で始まって 最後同主長調で終わる曲もありまsが その程度なら平均率以外でも 違和感ないのでしょうか? 鑑賞する前からきになっちゃいました^^ 何度もご解答感謝です 皆様の回答を何度も読み直して 勉強しますね

回答No.20

今の時代は、音律を深く考えない方が良いですよ。(でもギターだと必要?) >調号が着く順番を覚えていくのには >音律関係なく五度圏をつかっても問題ないですか?  音律関係なく(いつも通りで)五度圏を使ってください。いちいち音律考えるのでは頭混乱します(+_+) >楽譜やCDにも調律の記載があれば 助かりますね。 > 平均率以外の演奏も聴いてみたくなりました。 > あるいは今まで食わず嫌いでしたが > 無調・12音技法も  楽譜やCDは、調律の記載はないと思いますよ^^;12平均律で演奏することがしばしば多いですから。  オーケストラ、合唱など 自分で音を作る楽器については、きれいに響くように自分で調整している場合が多いです。  試しにドミソの和音で「ピアノや楽器でドとソの音を出し、自分の声で真中のミの音をハミングで出す。その後、楽器でミの音を出すと自分の声が低く感じられると思います。(僕はそうでした)」。  無調(らしい曲?)というと、武満徹さん作曲のノーヴェンバーステップスがあります。これ夜聞くと結構不気味です(^.^)

ennkai
質問者

お礼

平均率以外の音律の存在があることは 頭の片隅におきて置きますね 調号の着く順番の件 ほっとしました^^ 私は今から平均率以外を使うことは無いですが 平均率以前の曲を作曲者が意図した調律で 聞いてみたいですね CDでもさがしてみます。 以前ちらっとシェーンベルクを聞きましたが 個人的に受け付けなかったです。 私はショパンやドビュッシーくらいまでは好きですが それ以降はなかなか・・・聞きなれていないせいも あるのでしょうが。

  • terra5
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回答No.18

>思ったけど、ベートヴェン作曲/ピアノソナタ≪月光≫なのに、なぜ純正律なんですか? なぜ嬰ハ長調と変ニ長調の音が違うかの説明で出てきたので、曲とは関係ありません。 実際にはベートーヴェンは古典音律の類を使ったと言われています。(キルベンガーという音律?) あと、ショパンも平均律は使っていないといわれてます。 ドビュッシーは、平均律だったとか。

ennkai
質問者

お礼

皆さまありがとうございます。 月光ソナタを持ち出したのは平均率純正率とか 知らずに持ち出した例なので曲そのものには 何の意味もありません おさがわせしました。 まず調律方法ありきですね (楽譜やCDにも調律の記載があれば 助かりますね。  平均率以外の演奏も聴いてみたくなりました。  あるいは今まで食わず嫌いでしたが  無調・12音技法も) 五度圏うんぬんを書いたのは 平均率以外の調律の名前として純正率をかいたもので ピタゴラスや他の音律はまったく知りませんでした。 おはずかしいかぎりです。 ただ、調号が着く順番を覚えていくのには 調律関係なく五度圏をつかっても 問題ないですか? Cの質問については 改めて記入しようとおもいましたが 文章力が未熟でで表現できないので取り下げます。 とりあえず平均率では 異名同音で間違いないが他の調律では そうでない。 調号の記載方法についてはある程度 法則性がある(転調前 転調後の関係によって)。 が ロックやポップスにあるような まったく関係ない調への転調(たとえばハ長調から嬰ハ長調など)に際しては また別物? 私の疑問点興味が多岐にわたることが 改めてわまりました ありがとうございます 調律 記譜法 絶対音感  同一曲の移調による聞こえ方 

回答No.17

 思ったけど、ベートヴェン作曲/ピアノソナタ≪月光≫なのに、なぜ純正律なんですか? よく転調しているのに、純正律を持ってくるのはおかしいと思います。ベートヴェンは平均律があるから、このような曲を書けることができた、純正律なんて考えてなかったと思います。古典派ですし。  ちょっと戻って、嬰ハ短調から変ニ長調にしないのは、もともとの調が嬰ハ短調と決めているのだから転調するさい同主調である 嬰ハ長調(臨時記号をつけて)としている、(嬰ハが共通して主音(第一音)だから。) (+いろいろ書いて、ほんとうに、すみません。)

  • terra5
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回答No.16

>異名同音は、平均律として同音であること。 因果関係が逆です。 平均律ではCis,Desは同じ音、同音だから、CisとDesは異名同音と表現するのですから。 それ以外はCis,Desは異なる音、異音だから、CisとDesは異名異音と表現するわけです。 そういえば、元の質問から随分離れていましたけど、異名異音ということがわかれば、もともとの質問である変ニ長調で記譜出来ないのもわかると思います。 元の嬰ハ短調と変ニ長調では共通の音が・・・数えてませんけど多分ないでしょう。 連続している曲の途中では共通の音が一気になくなるというのはかなり不自然な状態です。 普通よくある転調は、#が1つ増えるかbが一つ増える調へのもので、つまり1音だけ変化している。 嬰ハ長調の場合#が三つ増える。ただし、実質的には三つ以下になる。 というのは、短調の場合自然短音階よりも、臨時記号で#一つつく和声的短音階よりも、臨時記号で#が二つつく旋律的短音階を使っている場合が多く、実質的に一つ#がついただけになります。 変化が少ないから自然に、違和感無く転調できるというわけです。 C:の文章は意味がわからないので答えられないのですが、多分間違いでしょう。 例えば純正律は、ハ長調純正律、イ短調純正律、ハ短調純正律でそれどれ異なりますし、 ハ長調純正律の場合でもドレミファソラシ以外の音に関してはあまりはっきり決められません。 F#とかBb等はだいたい同じになると思いますが、バリエーションがいくか考えられます。 もちろん、ト長調純正律、ヘ長調純正律もハ長調純正律とは異なります。 これが参考になるよな気がしますが。

回答No.15

>cis と des が同じ音か異なる音かといえば、これは、本来は異なる音 現代の理論では、平均律として同じ音と主張していることであり、純正律を主としている時代においては、異名異音となることが分かりました。 >周波数が違っても同じ音だ× 僕の前提にある12平均律としてしか考えてなかったためで、そんな答えを導いてしまった。改めて考え直した結果ですが、違う音にしか考えられませんね。 でも言っておきます。異名同音は、平均律として同音であること。それは、どんなに主張されても同じとしかいいようがありません。 >C:異名同音の調で響きが変わるのは純正調律 >  鍵盤上ではひとつしかないのでどちらかしか >  演奏不可(記譜法の観点ではなく) この質問に、回答してやってください。僕は、純正律を深く学んでいないので、分かりません。また、平均律を前提に考えてしまいそうなので。 A.Bについては、それで良いと思います。Bは、平均した響き(多少にごるけど)

  • terra5
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回答No.14

>それはたんに周波数が違うということであると思います。 周波数が違う以上、違う音だと思いますが。 周波数が違っても同じ音だということなら、お互いの前提が違うことになりますから話はこれで終わりですね。 >異名異音って初めて耳にしたので。 あまり一般的ではないのは確かでしょうけど、 googleで検索すると音律関係のページ等でみつかります。 >D:同じ局を純正調で移調して聞き比べる感じ方  >  華やか、絢爛豪華、牧歌的・・・ >  は 純正調ならではのもの。 とは限りません。純正律の場合は主要3和音が綺麗、にごりがないというだけで、どう聞こえるかはメロディや和音、アレンジによって変わると思います。 実際、単音のメロディだけを聞く場合は平均律のほうがいいという話もありますし、 メロディはピタゴラス律という音律を使うといいと言われてます。 ですので、実際の曲の演奏では固定的な音を使わないわけです。 >ドからスタートして完全五度上もしくは下に五度圏を作り >ぐるっと一周したら最初のドとシ# や >ド#とレ♭のピッチがずれるのが純正で 純正でなく、これがピタゴラス律です。これで一箇所をのぞいて、完全5度が全て純正になります。 だいたいは、5度下げる方はEbどまり、5度上げる方はG#どまりにして、 Eb,G#が純正でない5度、他が全て純正な5度となるようにします。 純正律のハ長調ならCEG,FAC,GBDの3和音が全て純正の3度と5度になるように決めた物です。

noname#231526
noname#231526
回答No.13

異名同音について。  たとえば(ドイツ語風表記で)cis と des が同じ音か異なる音かといえば、これは、本来は異なる音である、ということになります。ですから、異名異音ですね。ただ、ある種の音律では、(たまたまあるいは意図的に)同じ高さの音になる、ということです。資料を見て、これを分かりやすく説明しようと試みましたが、……諦めました(-_-;)。軽く本一冊の分量の領域だと思います。私の知識くらいでは要領よく説明できるほどには考えをまとめることができませんでした。平均率ではなかった時代、一つの音律の中で全音が1種類ではなく、半音が一種類ではない、そういうことが当り前であったのです。また調律法にも決定版はなく、さらに楽器ごとに独自の調律法と演奏法とが入り乱れていて、たとえば、、バイオリン奏者の半音の取り方(幅)とチェロ奏者の半音の取り方とが異なっているので、合奏の場合下手すると不快な響きになるので、注意するようにとか……平均率の世界では考えられないことがいろいろ出てきます。音律の資料を見ると鍵盤楽器を念頭に置いたものが多いのですが、弦楽器に関する物を見るとまた全然違っていたり…。  とはいうものの、その時代その時代で、どの考え方が主流であったかというのはあるようです。そういう意味では、現代では平均率の時代、cis=des の時代といえます。  音楽を学問ととらえ何が正しいかを追究するなら、楽譜の書かれた時代と地域を特定し、音楽史的・楽理的に「正しい」音程の取り方を定めて演奏すべきでしょうが、音楽を芸術ととらえ、楽譜は、演劇の「台本」のようなものととらえれば、現代のわれわれのための現代のわれわれによる解釈に基づく演奏が成り立つわけで、受け取る人により賛否も分かれて当然の世界になり、また、音楽を趣味・嗜好と考えれば、気に入ったものを好きずき勝手に愛好してこだわってくださいという世界になります。  同主調の記譜については、楽譜というものが、人にものを伝えるという、ことばと同じような役割をするものととらえれば、ことばにおける文法と同じように、記譜法というものが、ある程度皆の共通認識として存在する、それに従うべきであると言えます。そして、文法が時代や地域によって変遷しているように、実は記譜法も変遷してきたといえます。まあ古典派以降は比較的安定しているといえるかもしれませんが。ということで、その比較的安定している領域では、同主短調への転調はシャープが3つ減るあるいはフラットが3つつく方向へ記載を変えるのであり、同主長調への転調はフラットが3つ増えるあるいはシャープが3つ減る方向へ記載を変えるというのが暗黙の了解であり、暗黙の了解に従って作曲家は演奏者にその意図を伝え、演奏者は作曲家のその意図を読みとるものであるといえます。ですから、ある作曲家が嬰ハ短調から変ニ長調へと転調記号を書いた時には、演奏者は、そこから何を読みとるべきかという問題が生じ、少なくとも「通常」の同主長調への転調ではないと作曲家が意図してわざわざそう記載したのではないかと考えざるを得ないと思います。もちろん、その作曲家が嬰ハ短調の同主長調は変ニ長調で記載すべきであると常日頃から主張しているという事実があって演奏者もそれをよく知っているのであれば、あ~またかで済んでしまうのであります。  記譜法についての余談ですが 現代の記譜法に従った楽譜しか知らない人には信じられないかもしれませんが、ルネッサンス~バロック時代の楽譜では、半音の臨時記号を、書かないでもそのくらい分かるのが暗黙の了解として、省略してあるなどというように、その頃の暗黙の了解を知らないとまともに演奏できなかったりするそうです。(もちろん、現代印刷されて出回っている楽譜は、そういうことを専門にしている学者さん達がちゃんと解釈してくれているものです。)

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