デバイ角周波数とデバイ模型について

このQ&Aのポイント
  • デバイ角周波数ω_Dは、格子系の単位体積あたりの状態密度D(ω)と格子の数密度ρの関係を表す定義です。
  • 角周波数ωをもつ格子の数の期待値<n(ω)>は化学ポテンシャルが0のボーズ分布であり、格子系の単位体積あたりのエネルギーuは格子振動の分極に関する和を表す式です。
  • デバイ模型では、式(1)で定まる角周波数ω_Dまでの区間で考えることが一般的です。
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デバイ模型におけるデバイ周波数について

3次元空間における格子の,単位体積あたりの状態密度をD(ω),格子の数密度をρとします. デバイ角周波数ω_Dを,次の定積分を満たすように定義しているのだと思います. ∫ _{0} ^{ω_D} [D (ω) ] dω = n (1) また,角周波数ωをもつ格子の数の期待値を<n(ω)>とします. <n(ω)>は化学ポテンシャルが0のボーズ分布であることはわかっています. このとき,格子系の単位体積あたりのエネルギーuは,次式で表されると手元の参考書にあります. ただし,このあとに格子比熱を考えたいので,零点振動の寄与は言葉でかいておきます. (h'はエイチバーのことです.Σは格子振動の分極に関する和を表しています.) u = Σ ∫ _{0} ^{ω_D} [ h' ω D (ω) <n(ω)> ] dω + (零点振動の寄与) (2) ここで質問です. 式(2)で積分区間の上限がω_Dとなっていますが,なぜなのでしょうか? 私は,∞だと思いました. 式(1)で定まる角周波数ω_Dまでの区間で考えることがデバイ模型なのでしょうか?

質問者が選んだベストアンサー

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  • stdyphy
  • ベストアンサー率77% (7/9)
回答No.1

> 式(1)で定まる角周波数ω_Dまでの区間で考えることがデバイ模型なのでしょうか? YesといえばYes、NoといえばNoといったところでしょうか。 デバイ模型のような近似を考えなくても、結晶の中では原子間距離よりも短い波長の格子振動は存在できないので、波長の逆数の次元を持つフォノンの波数ベクトルqに上限があります。したがって、フォノンの分散関係を通じて、角振動数ωにも上限が存在します。 なので積分の上限が∞で無い事自体は模型とは関係ない結晶のフォノンの性質で、その上限を異方性のない定数ω_Dで置き換えることはデバイ模型からきています。 --- デバイ模型では、フォノンの分散関係について二つの近似をします。 一つ目は波数ベクトルqに異方性がないという近似、二つ目は分散関係がω=vqという簡単な式で表せるという近似。ただしvは音速で、qにも方向にも依存しない定数。 一つ目の近似でデバイ波数ベクトルq_Dを定義します。 一般のBrillouin zoneは多面体なので、方向によってとる事のできる波数qの最大値が変わります。 その代わりにBZと同体積の球を考えたときの半径がq_Dです。 したがってq_Dは結晶の格子体積と、その中に含まれる原子の数だけから決まります。 二つ目の近似からq_Dに対応した角振動数ω_Dが決まります。 すなわち ω_D = v q_D です。 ここで音速vがデバイ模型における結晶の個性を表す唯一のパラメータになるのですが、普通はvではなく代わりにデバイ温度Θ_Dを使います。k_B Θ_D = h' ω_D なので v = k_B Θ_D / (h' q_D) と換算できます。

marimmo-
質問者

お礼

ありがとうございます。 確かにそもそも各周波数に上限が存在しますね。 デバイ模型が何をしているのか、今までよりわかりました。 また機会があればよろしくお願いします。

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