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不動産所得における事業的規模の判断基準について

不動産所得における事業的規模の判断基準についてご教示頂きたく存じます。おおむね5棟もしくは10室が一般的な基準かと存じますが、ある1棟マンションに9室あり、その屋上に携帯キャリアのアンテナを設置してあるような場合は事業的規模と判断してよいのでしょうか。 ご教示頂けますと幸いです。 よろしくお願いします。

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  • k_k13
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回答No.1

>ある1棟マンションに9室あり、その屋上に携帯キャリアのアンテナを設置してあるような場合は事業的規模と判断してよいのでしょうか  私見ですが、結論から言うと「事業的規模に該当しない」です。  不動産所得において事業的規模に該当するかは、特に青色申告の各種特例の適用要件の分かれ目となるので重要な点です。 >おおむね5棟もしくは10室が一般的な基準かと存じますが  国税庁の所得税法基本通達26-9のことですね。 所得税法基本通達26-9 建物の貸付けが不動産所得を生ずべき事業として行われているかどうかは、社会通念上事業と称するに至る程度の規模で建物の貸付けを行っているかどうかにより判定すべきであるが、次に掲げる事実のいずれか一に該当する場合又は賃貸料の収入の状況、貸付資産の管理の状況等からみてこれらの場合に準ずる事情があると認められる場合には、特に反証がない限り、事業として行われているものとする。 (1) 貸間、アパート等については、貸与することができる独立した室数がおおむね10以上であること。 (2) 独立家屋の貸付けについては、おおむね5棟以上であること。  ここで国税庁の言っている「事業」とはなんであるかが重要になります。  これについては法学者や裁判においても度々争いとなっています。しかし、いずれにおいても判断基準としてはS56年の最高裁判例から、「事業とは自己の計算と危険において営利を目的とし対価を得て継続的に行う経済的活動」であるというのが通説です。  また、法律上不動産所得と事業所得の線引きについては所得税法施行令第63条《事業の範囲》において「不動産の貸付業(中略)を除く」と規定されています。  つまり、法律や裁判の判断は、原則として不動産貸付業務は事業ではないとされているということです。  私の言葉で乱暴かつ簡単に説明すると、不動産貸付については一般的に事業とされる商売とは異なり「貸付物件の取得(建築)当初の判断によって、以後継続的に安定して一定度の収益が確保できる」性質の収益であるため、反復継続した事業判断及びリスクが無いと考えられているためです。  ただし、だからといって十把ひとからげに不動産貸付は事業ではないとは言い切れないので、所得税法基本通達26-9により大規模に貸付を行っている者は相応のリスクを背負っているとみなし、事業性を認めるとしているものです。  じゃぁ、そこからが大規模とみなされるの?という当然の疑問が出るので、国税庁が示した線引きがいわゆる5棟10室基準です。一戸建てなら5棟、マンションやアパートなら10室以上ならば事業規模とみなし、税務署は文句をつけないという基準です。  さて、質問者さんの場合、9室なので基準に満たない状態です。ここに携帯電話のアンテナを加えたらどうなるか?というのが争点になるでしょう。  一般的に携帯電話のアンテナについて、メンテナンスや維持費用等は携帯キャリアが負担するものであり、家主としては設置スペースの貸付による対価収入のみを指します。これは駐車場や看板設置の貸付などに類するものと判断されるでしょう。家主には設備の管理リスクや責任が無いためです。  そして、駐車場については5台分で1室相当とみなすとされていますので、アンテナからの収入は0.2室相当ということになりますから、やはり10室以上という基準には満たないと判断されます。  以上を持って5棟10室基準による判定はアウトと判断します。  それでも事業的規模であると主張したいならば「日常的に常に物件を家主の責任下において常時管理していること」を反証によって税務署に証明する必要があります。  ちなみに、上のような例は一般的に「家主が直接管理している時間貸し駐車場」を言います。ほぼ全ての裁判においても、月貸しの物件は時間貸駐車場のように常時管理する必要のある物件とはみなされていません。

参考URL:
http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1373.htm
kanagawa10036
質問者

お礼

大変丁寧に説明頂きありがとうございました。 一般的に駐車場5台で1部屋分ということも知らず、大変勉強になりました。 ありがとうございます。

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