群論についての質問

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群論について

ジョージャイの「物理学におけるリー代数」を読んでいるのですが、次の文章の意味がわかりません。 物理系の変換には自然な掛け算則が存在する。g1とg2を2つの変換とすれば、g1g2は、先ずg2を行い、次にg1を行うことを意味する。ただし、合成則を我々が今やったように右から左へと定義するか、左から右へとするかは全くの約束であることに注意しておきたい。どちらでも、完全に矛盾のない変換群の定義を与える。 この変換が量子力学系の対称性である場合には、変換はそのヒルベルト空間を等価なヒルベルト空間に移す。各々の群の元gに対し、ヒルベルト空間を等価なそれに移すユニタリー演算子D(g)がある。変換された量子状態は変換された物理系を表すので、これらのユニタリー演算子は変換群の表現をなしている。かくして対称性の任意の集合に対し、ヒルベルト空間上の対称性の群の表現が存在する。ーヒルベルト空間はその群のある表現にしたがって変換する、と言う。さらにまた、変換された状態はもとのそれと同じエネルギーを持っているので、D(g)はハミルトニアンと交換する。 (引用終わり) 以下の5つの部分がわかりません。 (1)「この変換が量子力学系の対称性である場合」とはどういうことでしょうか?この場合の対称性とは何のことですか? (2)「等価なヒルベルト空間」とはどういう意味でしょうか? (3)「変換された量子状態は変換された物理系を表すので、~変換群の表現をなしている」というロジックがわかりません。 (4)「ヒルベルト空間はその群のある表現にしたがって変換する」とはどういう意味でしょうか? (5)最後に、変換された状態はもとの状態と同じエネルギーを持っているというのは、どうしてですか? 分かる方ご教授ください。よろしくおねがいします。

質問者が選んだベストアンサー

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  • eatern27
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回答No.2

(2) 集合として等しいという意味だけではないですね。 数学的に厳密な話をするのなら、ヒルベルト空間と運動方程式(ハミルトニアン)をセットにしたものが等価という感じで考えた方がいいでしょうか。 例えば1次元で偶関数ポテンシャルを考えた場合、 「右から左」にx軸を設定しても「左から右」にx軸を設定しても運動方程式の解など何もかもが同一になってしまうので、「右から左」と「左から右」に座標軸を設定した場合を区別できません。そういう意味で「等価」という事です。 一方偶関数ポテンシャルでないのなら、「右から左」に座標軸を設定した場合と「左から右」に座標軸を設定した場合で運動方程式の解や特定の状態のエネルギーの期待値など何かに違いが出てくるので、「指定した状態のエネルギーが大きい方・小さい方」などと両者を区別する事が可能で、等価ではないのですね。 (3) #1の記号を使うのなら (ψ_g2)_g1 =ψ_(g1g2) が成り立ちます。というより >g1とg2を2つの変換とすれば、g1g2は、先ずg2を行い、次にg1を行うことを意味する とあるように、この式が成り立つ事がg1g2(g1とg2の積)の定義です。 ψ_g=D(g)ψ となるような(ユニタリ)演算子D(g)が存在する事を認めれば、上の式は D(g1)(D(g2)ψ) = D(g1g2) ψ である事と同値で、これが任意のψで成り立つ事から D(g1)D(g2)=D(g1g2) となり、Dが表現になっている事が確認できます。 「変換された量子状態は変換された物理系を表すので」 に関しては、ψ_g2(あるいはD(g2)ψ)がヒルベルト空間の元である事(従ってさらにg1を作用させる事ができる)事を述べているのだろうと思いますが、日本語訳が分かりにくいと感じたら(入手可能なら)原文を読まれた方が良いと思います。 (4) 特定の表現という意味です。 一意的に決まるかというのは文脈によって結論も変わりますが、 「群Gがヒルベルト空間にどう作用するのか(状態ψに対してψ_gがどういう状態を表すか)」を決めてしまえばその表現も一意に決まります。 >対称性の群とは対称群(置換群)のことではないのですか? 対称操作の全体からなる群と言えば分かるでしょうか。

sa10no
質問者

お礼

ありがとうございます。(1)~(5)については大体理解できました。 あわせてこちらの質問にも回答いただけたらありがたいです。 http://oshiete.goo.ne.jp/qa/7321805.html

その他の回答 (2)

  • chiha2525
  • ベストアンサー率10% (245/2384)
回答No.3

違っていたらごめんなさい。 (1) 合成則を右から左へと定義したものと、左から右へと定義したものを考えて、それら2つが逆だった場合を考えたときに区別できるか(非対称)区別できないか(対象) (2) 変換前と変換後が1対1対応になっており、変換後が変換前と区別がつかない場合、それを等価と考えても差し支えない(違うかな・・) (3) これらの変換によって変換されるすべての変換(=変換群)を考えると、ヒルベルト空間を等価なそれに移すユニタリー演算子D(g)がある変換になるので、その変換群は(他と同様の)よく知られた変換群になる。 「対称性の群の表現が存在する」というのは「よく知られた変換群になる」というより深くて、「同じ変換群の構造になる」という感じに近い感じ・・なのかな。 # 群論はあまりよく理解できていなくて、すみません。 (4) 「対称性の任意の集合に対し、ヒルベルト空間上の対称性の群の表現が存在する」というのは、(3)の「よく知られた変換群になる」のだけど、それだけでなく、ええと、正方形というのは点対称であるだけでなく上下対称でも左右対称でも90度回転対象でもあるので、正方形の対象群というのは上下対称や左右対称や90度回転対象も含んだ構造の対称群となっている=「同じ変換群の構造になる」というとして、これと同様に「ヒルベルト空間上の対称性の群の表現が存在する」=ヒルベルト空間の変換の対称性も、それが持つ群の構造の対称性に従った対称性の変換をする=「ヒルベルト空間はその群のある表現にしたがって変換する」 # あってるかなー (5) 最初に戻って、変換前後で区別がつかない

  • eatern27
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回答No.1

どの程度の説明が必要かよく分からないのでとりあえず簡潔に。 (1) 対称性というより対称操作と言った方が分かりやすいでしょうか。 ここでいう「対称操作」とは具体的には運動方程式を不変にする操作の事です。 ハミルトニアンを不変にすれば運動方程式も不変になるので、基本的にはハミルトニアンを不変にする操作と考えて差し支えありません。 (2) ヒルベルト空間Hの元ψにある対称操作gを行った結果を仮にψ_gと書くことにしましょう。このようなψ_gの全体をH_gと書くことにするとH_gもヒルベルト空間になります。 HとH_gは対称操作を行う前と後という意味で「違う」ヒルベルト空間ではありますが、対称操作を行っただけである以上我々には両者を区別する事は不可能で,そういう意味で「等価」となります。 (3) 上記で言うψ→ψ_gという写像をD(g)と呼んでいてこれがユニタリ演算子になっている訳です。 D:g→D(g)という群Gの元からユニタリ演算子への写像Dを考えると、このDが表現と呼ばれるものになっているのですね。(必要なら演算子は行列と読み替えて下さい) (4) 意訳すれば 「対称操作gを行う事」はヒルベルト空間の中においては「ユニタリ演算子D(g)をかける事」と言い換える事ができますよ という事。 (5) 変換前後で同じエネルギーにならないのならハミルトニアンが変わっていなければいけません。従ってそのような操作は「対称操作」とは呼びません。

sa10no
質問者

補足

回答有難う御座います。(1)、(5)については理解できました。 (2)について、ψとψ_gは一般に別の状態であるが、それらの集合は同じであるという理解は正しいですか? (3)について、Dが表現であるためには(ψ_g1)(ψ_g2)=ψ_{g1g2}が必要だと思うのですが、「変換された量子状態は変換された物理系を表すので」という記述でこれが言えてるのでしょうか? (4)について、日本語の問題なのですが「その群のある表現」とはその群の特定の表現という意味ですか?また、その場合、その表現は一意的に決まりますか? 追加でもう一つ質問させて下さい。 「かくして~対称性の群の表現が存在する。」という部分なのですが、対称性の群とは対称群(置換群)のことではないのですか? 対称群の何が対称なのか理解できていないのですが、この記述が対称群だとすると(1)などで出てきた対称性との関係はあるのですか?

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