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風力発電の環境負荷は?

 「東京電力福島第1原発の事故を受けて再生可能エネルギーへの関心が高まる中、地元北海道で自然エネルギー発電の大規模計画が進んでいますが、風を受けて回る風力発電が気になります。環境への負荷が少ないと言われますが、環境面の課題を教えてください」=北海道黒松内町、佐藤雅宏さん(43)

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 ■「切り札」も導入進まず  古くは昭和40年代に起きたオイルショックの時代から石油代替エネルギーとして注目を集める風力発電。福島第1原発事故を受け、地球温暖化防止の「切り札」(環境省)として期待が高まっている。  ただ、これまでに国内で導入された風力発電はわずかだ。平成9年の地球温暖化防止京都会議(COP3)などを機に導入が徐々に始まり、22年3月時点の全国の風車は1683基。10年間で約8・5倍となったが、出力は219万キロワットと原発2基分程度で発電量も国内全体の0・01%に過ぎない。  世界全体では出力1億9439万キロワット分の風車が導入されている。世界1位の中国が4229万キロワット。米国、ドイツ、スペインと続き、日本は世界12位と後れを取っている。  政府は22年6月に閣議決定した「エネルギー基本計画」で、2020(平成32)年までにエネルギー供給量に占める風力発電など再生可能エネルギーの割合について、6%から10%引き上げることを掲げている。また、環境省の審議会は32年までの風力発電量を1131万キロワットと見込んでいる。  「技術開発は進んでいるが、風力発電の導入には依然として高いハードルがある」。資源エネルギー庁新エネルギー対策課の藤野亨係長はこう指摘する。  国内では安定的に風が吹く場所が限られる上、騒音による近隣住民への環境影響があるからだ。にもかかわらず、これまで、建設時に事業者が住民への説明会を開いていないケースもあったという。  環境省が昨年10月に発表した調査では、全国389カ所の風力発電所のうち、64カ所で騒音や低周波音について苦情があった。風車から1・5キロ離れた住民から「眠れなくなった」などと苦情が寄せられたこともあるという。  晴天時に風車が回ると、羽根が断続的に太陽光をさえぎり、地上で明暗が回転する「シャドーフリッカー」という現象も、住民に不快感を与える原因だ。  巨大風車が林立すると景観が破壊されるという問題もある。平均的な約2000キロワット級の風車では、全高は100メートルを超える。  フランスでは、世界遺産の修道院「モン・サン・ミッシェル」周辺の風力発電計画で、地元県知事が2件の建設計画について不許可を決定。風車の位置は最も近くて約15キロ先だったが、象徴的な景色を損ねると判断したからだ。  生物をめぐっては、風車に鳥がぶつかる「バードストライク」もある。北海道でけがを負うなどして収容された国の天然記念物「オジロワシ」182羽について環境省が実施した調査では、交通事故28件に次いで、風車などへの衝突が24件に上っている。  ■「愛される風車に」  環境省はこれらの現状を踏まえ、事業者側に対し、事前に生態系への影響や騒音調査などを求める環境影響評価法(環境アセス法)の対象とすることを目指して調整を進めている。  これまでは福島県や長野県など7自治体が条例で義務づけていただけで、初めて全国的な法的義務となる見通しだ。環境省環境影響審査室の伊藤貴輝審査官は「行政が規制するのではなく、事業者側の自主的な取り組みを期待している」と説明する。  事業者やメーカーなどでつくる日本風力発電協会は「建設した後に問題が生じてはならない。事前、事後ともにしっかりとした調査を実施して、いかにして住民らの合意を得られるかが重要だ」としている。  一方で、騒音など環境への影響が低いとされ、設置可能な場所が広がる洋上風力発電の研究も進んでいる。洋上風力発電には、風車を海底に固定する「着床式」や、海上に風車を浮かべる「浮体式」があり、国内では3カ所に着床式が設置されている。  環境省は浮体式について、長崎県五島市の椛島(かばしま)周辺で本格的な実証実験を進めている。25年春に2メガワット級の実証機を導入予定で、長さ40メートルの羽根で約1200世帯の消費電力をまかなう計画だ。  伊藤審査官は「これから導入される風車は地元から愛されなければならない。風力発電が再生可能エネルギーの王道となるようにしたい」と話している。       (川畑仁志)      ◇  「社会部オンデマンド」の窓口は、MSN相談箱(http://questionbox.jp.msn.com/)内に設けられた「産経新聞『社会部オンデマンド』」▽社会部Eメール news@sankei.co.jp▽社会部FAX 03・3275・8750。

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