• ベストアンサー

金属にはなぜ光沢があるか?

調べたところ、「金属の中を動き回っている多数の自由電子が、外から飛び込んでくる光をはじき飛ばす(反射する)から」と書いてあったのですが、どうも腑に落ちません。もう少し詳しく説明していただけませんか?

質問者が選んだベストアンサー

  • ベストアンサー
  • Quarks
  • ベストアンサー率78% (248/317)
回答No.2

エネルギーバンドのお話から。 原子が1個で孤立しているとき、その電子が光を吸収できると、ややエネルギーの高い状態(励起状態)になりますが、やがて 自身が安定化しようとして、元の状態(基底状態)に戻ろうとします。そのとき、差額のエネルギーを光の状態で放出します。 このとき、励起状態のエネルギーとしてどのくらいのエネルギーを持った状態が可能なのかというと、量子力学によれば、どのような励起状態にでもなれるわけではなく、可能な励起状態は決まっていて、飛び飛びになっています。イメージとして、エネルギー図を想像していただきますが、基底状態のエネルギーが最も低くてe0,次に可能な励起状態はe1,より高いエネルギー状態の励起状態ではe2,…となっています。重要な点はe0,e1,e2…がきっちりした数値になっていることです。e0,e1,e2…などをエネルギー準位と呼びます。 孤立した金属原子の電子はe1-e0、e2-e1,e2-e0…などのエネルギー差(ギャップ)に相当するエネルギーを持った光子を吸収放出し、これらのどれにも一致しない光子は吸収も放出もできません。 金属塊になっている場合は、金属原子は金属結合によって互いに結合して自由電子を互いに共有し合っています。 この自由電子は、無数にある金属陽イオンのすべてから影響を受けているわけですが、個々の金属陽イオンとの関係は同じではなく、いろいろな影響を受けているはずです。この結果、個々の自由電子のエネルギー準位は、先ほどのe1,e2,のようにきっちり決まった数値にはならず、或る幅をもったものになってしまいます。この幅(帯状)のエネルギー準位をバンド(帯)と称しています。 この結果、金属原子が1個で孤立しているときには吸収できなかった光子も、吸収できる可能性が高くなってきます※。 ※比喩で書いてみます。 金属が孤立しているとき、彼の財布は1000円単位の札しか入れません。当然1010円とか990円などはもらいたくてももらえないわけです。 一方、金属結合している状態だと彼の財布には、小銭入れが新たに支給された状態になります。こうなると、彼は1000円はもちろん、1010円でも、990円でももらえるようになります。 自然光には、いろいろな波長の光が含まれていますが、波長の違いは光子のエネルギーの違いを意味しますから、自然光とはエネルギーの異なる光子が混在している状態だと言うことです。先の比喩で言えば、単色光とは 1000円札だけ、自然光は 1000円,101円,990円などの集まりです。金属結合していると、自由電子群は、かなりエネルギー値の幅を持った光子を吸収できるわけです。 吸収したエネルギーはやがて同じ値のエネルギーを持った光子として放出されます。あたかも、金属はいろいろな光を発する光源のように作用するわけです。これが金属光沢の正体です。 おまけ。自由電子が放出する光子は特定の方角に決まっているわけではありません。金属の外に向かって放出されれば、私たちの目に入ってくるでしょう。しかし、金属の内部に向かって放出されるものも有ります。この光子は別の自由電子に吸収され…、と連鎖に置かれることでしょう。その先どうなるかと言えば、金属が箔状態で薄ければ、裏側に"通り抜けて"しまうものもあるでしょうが、そうでなければ、自由電子の熱運動として少しずつ失われてしまうでしょう。光を照射し続けていると、金属が徐々に温かくなってくるのは、この熱運動の激化によるものです。 ここで、疑問が生じるはずです。自由電子のエネルギーバンドが幅を持つようになるといっても、上下のエネルギーバンド間にはギャップが残っているはずですよね。最低でもこのエネルギー準位間のギャップを丁度越えるのが可能なエネルギーを持つ光子だけが吸収されるはずです。つまり、光子によっては、どの自由電子にも吸収されないものがあるということです。これらの光子(或る波長の光)は"反射"されないので、金属によっては、或る波長の光を、光沢として出せないわけです。銀や鉄などの場合は、可視光線の範囲のすべての光子を吸収・放出できますから、銀色に輝いていますが、金や銅は可視光内にも吸収できない光子がある金属ですから、あのように、金属特有な色の光沢を持つのです。また、可視光線以外の波長領域でみれば、鉄や銀といえども、色付いた光沢持っています(色といっても私たちの目には見えませんが)。

NRTHDK
質問者

お礼

たいへん分かりやすい回答ありがとうございます。おかげで、スッキリしました。

全文を見る
すると、全ての回答が全文表示されます。

その他の回答 (1)

  • yokkun831
  • ベストアンサー率74% (674/908)
回答No.1

光は電磁波ですから,電場と磁場の振動が空間を伝わるものです。 自由電子は,金属中である限り自由に移動できますから,電磁波によって振動させられます。 振動させられた電子は,同じ振動数の電磁波を放射します。 以上が,光の反射のミクロ現象です。

全文を見る
すると、全ての回答が全文表示されます。

関連するQ&A

  • 金属光沢

    金属光沢に関する質問です。 金属光沢の原理において、 ・電場とは何か ・何故自由電子が光の電場を拒むのか ・何故新たな電場が作られるのか ・何故入射光と反対方向に電磁波を放射するのか がわかりません。 どなたか力をお貸しください。

  • 電気抵抗率と金属の色の関係はあるのでしょうか?

    金属特有の光沢は金属表面に光が当たった時に侵入を妨げるように金属内の自由電子が移動し分極することに起因すると聞きました。 ということは金属中の自由電子が動きやすいほど、つまり、金属の電気抵抗率が小さいほど金属は高いエネルギーの光を反射できる。と言えるのでしょうか? もしそうでないとしても、金属の電気抵抗率と金属の色には何らかの関係があるのでしょうか?

  • 金属面での反射光は偏光されないことについて

    一般に物体に光が当たって反射された光は偏光されているが、 物体が金属である場合は偏光されないことを知識としては 知っているのですが、理屈が分かりません・・・。 たとえば水面でも反射は起こるので水を考えてみましたが、 水と金属の違いで知っているものといえば、自由電子があるかないか の違いくらいしか思いつきません。 高校の先生が昔、「金属の場合は一度光を吸収して再び放出するような 感じになるから偏光でなくあらゆる方向に振動する波がでてくる」というような ことをおっしゃっていました・・・。光のエネルギーを吸収・放射するというと 私は光電効果・誘導放射(放出?)しか知らないのですが、関係ありますでしょうか? 詳しい方、よろしくお願いいたします。 (関係あるとして考察すると、太陽光の場合あらゆる振動数の光が当たるので 電子が基底状態からいくつかのエネルギー段階まであがって落ちてくるから 反射光が単色でない上に偏光でない・・・? 金属以外の場合は電子が各殻に固定されているから 電子は光のエネルギーを吸収も放出もしないから・・・。)

  • 光電子を飛び出させる金属物性の違いとその後の金属

    質問が2つあります。 1、光電効果である一定以上の振動数の光を照射すると、金属表面から電子が飛び出しますが、電子が飛び出すギリギリの振動数は何によって違いが生じるのですか?例えばアルミニウムと銅とでは電子を飛び出させるのに必要な光の振動数が違うと思います。電子の飛び出し易さはその金属の何(周期表における族、原子数、バンド構造.etc)に依存するのでしょうか。 2、電子が飛び出すという事はその金属の自由電子の数が減ると思います。だとしたら大きな振動数の光をずっと照射し続け光電子が外へ放出され続けると、いずれその金属は自由電子を失い電流を流す機能が低下するのでしょうか。 本やサイトを閲覧しても、そのような内容は記載されていませんでした。分かる所だけでも良いので、また確信は無くても予想だけでも良いので、どなたかよろしくお願いします。

  • 光電子を飛び出させる金属物性の違いとその後の金属

    質問が2つあります。 1、光電効果である一定以上の振動数の光を照射すると、金属表面から電子が飛び出しますが、電子が飛び出すギリギリの振動数は何によって違いが生じるのですか?例えばアルミニウムと銅とでは電子を飛び出させるのに必要な光の振動数が違うと思います。電子の飛び出し易さはその金属の何(周期表における族、原子数、バンド構造.etc)に依存するのでしょうか。 2、電子が飛び出すという事はその金属の自由電子の数が減ると思います。だとしたら大きな振動数の光をずっと照射し続け光電子が外へ放出され続けると、いずれその金属は自由電子を失い電流を流す機能が低下するのでしょうか。 本やサイトを閲覧しても、そのような内容は記載されていませんでした。分かる所だけでも良いので、また確信は無くても予想だけでも良いので、どなたかよろしくお願いします。

  • 光の反射のメカニズム

    光の反射の理由を調べていたら、色彩について説明しているサイトがありました。 そこには、光のエネルギーを受け取った電子がエネルギーの低い状態に戻るために光を発する。 というようなことが書かれていました。 また、ある質問ページでは、光の反射の理由を尋ねた質問者さんに、同じような回答がされていて、 さらに、金属は自由電子があるからよく反射する。とも言われていました。 しかし、これらのメカニズムでは、 1.金属より自由電子の少ないプラスチックの下敷きやフローリング、水面が鏡のように映る理由を説明できない。 2.鏡の一点だけ見ても、見る方向によって映る像が変わる理由を説明できない。 (電子のエネルギー放出には方向があるということでしょうか?) 3.光よりはるかに周波数が低いマイクロ波が反射する理由を説明できない。 (周波数の低い電磁波でもいろいろな角度からたくさん当てれば電子にエネルギーを与えられるのでしょうか?) などの問題がある気がします。 それとも、何か見落としがあるのでしょうか? 私のような物理にあまり詳しくない人間にもわかりやすく答えていただけると幸いです。

  • シリコンの金属光沢

    もしシリコン結晶を0〔K〕以下の温度にした場合、結晶中の自由電子が全てフェルミ準位以下に納まってしまうということですから、当然金属光沢もなくなるのでしょうか? 金属光沢のないシリコン結晶の写真などが掲載されているHPなどがありましたら是非教えてください。 よろしくお願いします。

  • 金属光沢と蛍光の違いは?

    金属光沢は自由電子による励起光だと聞きました。 だとすると、同じく励起光である蛍光物質の蛍光 とは何が違うんでしょうか?

  • 金属結合

    (金属結合するのは金属などと書かれていましたが金属以外でも金属結合できるのか?)に↓ (YESです。 水素は金属ではありませんが、金属結合が起こります。)と質問したとき回答があったのですが、上の水素の例は <自由電子を持つから金属と呼ぶのだと思います。>という文がこのサイトで同じような文章を見たのですが、水素は自由電子を持ってるから金属といえるのか?それとも水素自体は金属ではなく、初めて自由電子を水素が得たときから金属というのか?すみませんが教えてください。 また <この自由電子は電気を通した時動き回るのか、電気を通さなくても動き回るのか?>の質問で <YESともいえますし、NOともいえます。 動くということを運動していると定義するならば、自由電子は運動量を持っていますから常に動いています。 電気を流したとき(電位差をかけたとき)にこの自由電子が、導線の中を移動し始めます。>の回答が来たのですが、 イエスともノーとも言えるとのことですがすみませんちょっと分からないので、具体的に聞きます。 このイエスとは自由電子が電気が通らないときも分質を自由電子が通る時と、ノーは自由電子が電気が通らないと分質を通らないときもある という事か? 実際自由電子は動くのですが、電気がないとその入ってる分質の中でしか動かず、電気が通ると分質から飛び出して動くという事でしょうか? 親に聞いてまた分からないのは、電気が通ったときに動きまわっていて 電気が止まったのでもとの場所に戻り止るのではないか?テレビとかそうでしょと言われたのですがそうなのか?

  • 金属のプラズマ周波数と反射率の関係

    プラズマ周波数と金属の反射率の関係について教えて下さい. 自由電子を持つ金属はプラズマ周波数未満の電磁波は反射すると聞いたのですが, プラズマ周波数に近くなるに連れて反射率が下がるのはなぜでしょうか?

このQ&Aのポイント
  • HCM-ASO1BTWH血圧計で充電開始後1分過ぎに液晶表示画面が消えてしまう問題が発生しています。
  • エレコム株式会社の購入したてのHCM-ASO1BTWH血圧計を使用していると、充電開始後1分ほど経つと液晶表示画面が消えてしまう現象が発生します。
  • 問題のあるHCM-ASO1BTWH血圧計は、充電開始後約1分経つと液晶表示画面が消えてしまいます。エレコム株式会社の製品に関する質問です。
回答を見る