免疫染色の原理とは?

このQ&Aのポイント
  • 免疫染色の原理について質問があります。具体的には、ブロッキングについてと試料の処理方法についてです。
  • ブロッキングは、抗体の非特異反応を防ぐために行われます。他種の血清を使用することで、標的以外のタンパクをブロックし、特異的な結合を促進します。
  • 試料の処理には、過酸化水素水を使用する理由があります。過酸化水素水はペルオキシダーゼを失活させ、非特異的な発色を防ぐ役割を果たします。また、過酸化水素水は標的タンパクの変性を引き起こさないため安全に使用することができます。
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免疫染色の原理について

免疫染色の原理について 仕事で、免疫染色をすることになりました。 文献で調べてみたところ、プロトコルは手に入りましたが、いくつか原理が分からないところがありました。 ・ブロッキングについて 1次抗体を反応させる前に、他種の血清を切片にかけて、標的タンパク以外のタンパクをブロックして、非特異反応を防ぐ、とのことですが、そもそもなぜ他種の血清をかけるとブロッキングになるのでしょうか? 抗体の非特異反応とは、標的タンパクのエピトープに似た分子構造を持つタンパクが他にあればそこに抗体が結合してしまう反応と解釈しているのですが、他種血清をかけることで標的以外のタンパクがブロックされるという原理が分からないです。 例えばヒトの口内粘膜上のTLRを抗ヒトTLRマウスモノクローナルIgGを1次抗体として染めるとして、この試料を、例えばカエル血清で処理するとなぜ、非特異反応を防げるのでしょうか? カエル血清に、ヒトTLRと1次抗体の結合だけを保護し、TLRに類似するエピトープを持つタンパクと抗体の反応を抑制するなどというピンポイントな機能があるとは思えないないです。 実際にはTLR以外を染める場合でもカエル血清は有効とのことですし(カエルでなくてもヒトと類似するタンパクを持っていない生物の血清であればいいそうですが)。 ・試料を過酸化水素水で処理する理由 DAB法ではDABと過酸化水素とHRPで標識した2次抗体を発色しますが、この反応の非特異的な発色を防ぐために、試料中のもともとあったペルオキシダーゼを失活するために過剰な過酸化水素水で試料を処理するとありました。 ペルオキシダーゼはミトコンドリアの水素伝達系で生じた過酸化水素やフリーラジカルを分解する酵素とのことですが、過酸化水素を分解する酵素が、過酸化水素で失活するものなのでしょうか?過剰であれば壊れるのでしょうか? 酵素は反応を促進させるものであって酵素自体は反応の際に構造は変化しないと記憶しているのですが。 また、過酸化水素は有機系の高分子を破壊するものと思っていましたが、標的タンパクを変性させる可能性はないのでしょうか? 知識がないもので、的外れなことや間違ったことを書いているかもしれませんが、よろしくお願いします。

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  • ベストアンサー
  • otx
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回答No.1

・ブロッキングについて ブロッキングとは、抗体が非特異的に何かしらのタンパク質に結合することを防止する操作です。 >標的タンパクのエピトープに似た分子構造を持つタンパクが他にあればそこに抗体が結合してしまう反応 違います。これはブロッキングでは防止することがむずかしい、又はできません。 ブロッキングとは、抗体として(可変領域が)違うタンパク質にくっつくのを防止するというよりも、 抗体というタンパク質が(可変領域でも定常領域でもどこででも)何かにくっつくのを防止するものです。 なので、血清でなくても、BSAやスキムミルク(タンパク溶液として使用される)を用いてブロッキングする人もいます。 要するに、組織などに「タンパク質がくっつきやすい場所」があったとして、それは抗体だろうが何だろうがくっつくわけです。 なので、最初からタンパク質をつっつかせておいてブロックしようというわけです。 ただ、同じ抗体のていをなしているタンパク質の方が、なんとなく目的の抗体というタンパク質が何かにくっつくのを防ぐんじゃないかと考えるので、血清を使うのが好きな人もいます。 その時、目的の抗体と同じ動物種の血清を使うと、2次抗体がブロッキングしたときの抗体も認識しちゃうので、ダメってことです。 ・試料を過酸化水素水で処理する理由 これは、質問者さんがおっしゃっていることが理由です。 >過酸化水素は有機系の高分子を破壊するものと思っていましたが、標的タンパクを変性させる可能性はないのでしょうか? あります。なので、組織に既に存在するペルオキシダーゼを失活させるために処理します。 >過酸化水素を分解する酵素が、過酸化水素で失活するものなのでしょうか? します。 それは、変性と酵素の働きの速度の違いです。 酵素自体が過酸化水素で変性していきます。しかし、その速度よりも速く酵素としての働きをやってしまいます。 なので、実際の発色のときの反応もそうです。 発色しますが長時間の発色は過酸化水素によって失活するのであまり意味が無いです。 >酵素は反応を促進させるものであって酵素自体は反応の際に構造は変化しない それはその通りですが、それは触媒としての物質が例えば二酸化マンガンとかはそうです。 しかし、酵素はタンパク質なので、構造がどうしても過酸化水素によってアタックされます。

temtem1
質問者

お礼

早速のご回答ありがとうございます。 >>要するに、組織などに「タンパク質がくっつきやすい場所」があったとして、それは抗体だろうが何だろうがくっつくわけです。 なるほど。 抗原抗体反応に関わらずタンパク質がくっつきやすい構造があるわけですね。抗体抗原反応にばかり目がいっていてそこまで考えていませんでした。 得心いきました。 過酸化水素についても分かりました。言われてみれば酵素もタンパク質ですから失活しないはずがなかったですね。 分かりやすい説明ありがとうございました。

その他の回答 (1)

  • otx
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回答No.2

あ、あと、 >標的タンパクを変性させる可能性はないのでしょうか? 変性することはあるかもしれません。しかし、それが抗体によって認識されなくなるかということとは、別問題です、 なぜなら、それはエピトープがどのようなものかによるからです。 ただ、抗体が認識する領域はタンパク質のうちで、数個のアミノ酸からなるそのことを考慮するとどうでしょうか・・・ 結局、そのタンパク質によるということで、免疫染色に支障がでるかもしれないし、でないかもしれないという結論になります。 ただ、抗体を購入したときのデータシートには、どのような用途に使える抗体かということが、明記してあると思います。 免疫組織化学に使えるかどうか、それによって判断するといいと思います 。

temtem1
質問者

お礼

ありがとうございます。 データシートの詳細ですね。 実を言うと今一よく分からなかったですが…… メーカーに問い合わせて確認してみることにします。

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