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超伝導:シールディング効果とマイスナー効果の違い

私が疑問に思っていることは、 「高温超伝導体において、温度-磁化率グラフをとった場合、zero field cool (ZFC)での測定結果と、field cool (FC)での測定結果が異なる理由は何故か」 と、いうことです。 この問題に関して今のところ、シールディング効果とマイスナー効果の違いが大きな原因だと理解していますが、その言葉以上の理解はできていません。 http://soudan1.biglobe.ne.jp/qa1900832.htmlを見ますと、ZFCでの測定がシールディング効果を表し、FCでの測定がマイスナー効果を表すということは分かりました。 ところが、なぜ両者で磁化率の値が異なるのかという点がよく分かりません。 「ZFCでは磁場侵入長が短く、高いシールディング率が得られる」、という話を伺ったことがありますが、ということはFCでは磁場侵入長が大きいためにZFCより低温での磁化率の絶対値が小さくなっているのでしょうか。 また、もしそうだとするならば、なぜ両者で磁場侵入長が異なるのでしょうか。 ご回答いただければ幸いです。よろしくお願い致します。

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  • KinakoAme
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回答No.1

リンク先での回答にも述べましたが,シールディング効果というのは,磁束を侵入させないようにする効果であり,マイスナー効果とは中に存在していた磁束でも試料の外に追い出してしまう効果のことです。FCとは超伝導でない高温の状態で磁界を印加し,そのまま冷却することですから,超伝導転移温度以上では試料の中に存在していたはずの磁束を外に追い出してしまう現象がおこります。つまりマイスナー効果となります。一方,ZFCでは低温まで無かった磁界が外部から印加されることになりますので,その場合には磁束を侵入させない現象,シールディング効果が観測されます。 磁化率というものは,磁界を印加した試料がどのくらいの磁束を保持しているか(=磁化しているか)を観察できる物理量です。そこには,強磁性のように自発磁化による磁束も合計されます。常磁性体では,印加された磁界と同じ方向に素直に磁束が存在するので,磁化は正となります。超伝導体に低温で磁界を印加した場合には,試料から完全に磁束が排除されますので,常磁性体では存在したはずの磁束が全て欠如した状態ですので,磁束の存在を表す物理量である磁化は負となります。しかも試料の体積分全ての磁化が負ですから,完全反磁性と呼ばれており,これは超伝導体の種類を問わずに同じ値を示します。 第1種超伝導体では磁束を内部に留めておくことが出来ないので,ZFCとFCでの磁化率は一致することになります。 一方,高温超伝導体などの第2種超伝導体は,磁束が内部に存在することを許しますので,FCで内部に入った磁束の一部が外に排出されずに残ってしまうことが可能です。そのため,完全反磁性の値(=すなわちZFCの磁化率)にはならずに,それよりも負の値が小さくなることになります。 ここで,磁束を内部に留めておく力が強い時,すなわち磁束ピン止め力の強い超伝導体の場合には,FCの磁化率の値がほとんどゼロに近いところまで至る場合もあります。 最後に,磁場侵入長の話が書いてありますが,これは物質によって決まる値であるので,実験条件によって変わるということはありません。誤解の原因を推察すると,第2種超伝導体である条件として,磁場侵入長とコヒーレンス長の比が1よりも小さいか大きいかということが挙げられます。この比についての話を誤解されたのではないかと思われます。

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質問者

お礼

大変すばやく丁寧な回答をいただき、誠にありがとうございます。 お礼が遅くなってしまったことをお詫び致します。 なるほど磁化率の違いは、ピン止めが起こるか起こらないかの違いだったんですね。納得致しました。 磁場侵入長などはまだまだ不勉強ですので、KinakoAme様の解説を元に今後勉強させていただきたいと思います。 大変分かりやすい解説、誠にありがとうございました。

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