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詐欺取消し後の第三者(復帰的物権変動論)

論文でわからない所があります。  詐欺取消後、取消しの相手方から不動産を譲り受けた第三者は保護されるか。その法律構成が問題となる。  まず96条3項の『第三者』にあたるとして保護されないか。  思うに、96条3項の『第三者』とは、詐欺による意思表示の取消前に新たに独立した法律上の利害関係を有するに至った者をいうと解する(判例に同旨)。  とすれば、取消後の第三者は、かかる『第三者』にはあたらず、同条項では保護されないものと解する。  しかし、取消前の第三者との関係では、取消権者はあらかじめ自分の権利を登記しておくことはできないが、取消後の第三者との関係では、登記できるのだから、登記を怠っている者が不利益を受けても仕方が無いといえる。 ここまでは、わかるのですが、この後が意味不明です ≪また、取消しの遡及効(121条本文)は、原状回復という1つの法的手段にすぎず、これを取消の効果として生じた復帰的物権変動と構成することも可能である。 とすれば取消による復帰的物権変動は、177条の『物権の得喪及び変更』にあたり、取消後の第三者と表意者とは対抗関係に立つので、登記を先に備えた方が保護されると解する(判例に同旨)。≫ これは、どういうことを言っているのでしょうか? 『原状回復という1つの法的手段にすぎず』 『復帰的物権変動と構成することも可能』⇒することも可能。ということは、しなくてもいい?ということなのでしょうか?ほかにどんな考え方があるのでしょうか? 原状回復という1つの法的手段にすぎないから、構成することも可能? よくわかりません。 そもそも復帰的物権変動の考え方が間違っているのかもしれません。復帰的物権変動とは、A⇒B⇒Cで、ABを取り消したら、Bの所有権がAに戻る。でもBはCに譲渡しているから、AとCは対抗関係に立つ。という考え方であっているでしょうか? ≪≫の中がさっぱりイメージがつかめません。 バカな私でもわかるように、言い換えてもらえませんでしょうか? あと、(判例に同旨)って、論文試験で書かないといけないんでしょうか?

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  • ベストアンサー
  • tkpai
  • ベストアンサー率70% (35/50)
回答No.1

はじめまして。法学部4年生です。 取り消しによる遡及的無効とは、はじめから何も無かったという状態とみなすということです。 つまり、A⇒Bの物権変動が一切無かったということにする法的な擬制です。 しかし、取り消しうる行為というのは取り消されるまでは有効であり、現実的にはA⇒B⇒Aという物権変動が行われています。これが復帰的物権変動です。 この現実面を捉えて復帰的物権変動と構成できるという表現になっています。 そして、このB⇒Aという復帰的物権変動とB⇒Cの譲渡がBを基点とした二重譲渡と類似した状態になっているので177条で解決しようとしたのです。 これに対して、復帰的物権変動を考えない学説もあります。 94条2項を類推適用して解決する学説です。 94条2項は外観法理に基礎を置くもので、虚偽の外観を作出した権利者に帰責性が認められる場合に、その外観を信頼して取引関係に入った第三者を保護するものです。 類推適用の要件としては(1)虚偽の外観、(2)外観を作出した帰責性、(3)第三者の信頼(善意・無過失)が挙げられます。 本問では(1)真の権利者ではないBに登記があるという虚偽の外観、(2)登記を戻せるのに戻さなかったAの帰責性、(3)Cが善意無過失ならば、94条2項を類推適用できると思います。 177条は判例、94条2項類推は学説の有力説ですね。どちらを自説とするかは好みの問題だと思います。 なお、(判例に同旨)は判例と同じ内容・規範の場合に書きます。 判例を熟知していればいいのですが、もし判例の理解を間違えているのに(判例に同旨)なんて書いてしまったら、この人は判例を理解してないと採点者が思うかもしれません。 他方、正確な判例とともに(判例に同旨)と書いてもどの程度の加点事由になるのかはわかりません。 自信がある場合以外は書かないほうが無難だと思います。

その他の回答 (2)

  • mano5
  • ベストアンサー率32% (189/582)
回答No.3

こんにちわ。 復帰的物権変動と94条2項類推は既出なので、割愛します。 「判例同旨」は書いてもたいていは、加点にはなりません。 むしろ、判例とは若干異なる事例が出題されることが大半なので、判例とは前提事実が違うから、書くべきではないという先生方もいらっしゃいます。 採点の先生方によっては、「判例同旨」と書く以上は、「判例の規範」をそのまま表現してないとだめだという方もいらっしゃるようです。 そうすると、果たして「判例同旨」を書くメリットがあるかといわれれば内ないように思えます。 よっぽど百選とかの「判例の規範」を丸写しできない限りは、リスクがあるといえるでしょう。

回答No.2

こんにちは。 ■『復帰的物権変動と構成することも可能』⇒することも可能。ということは、しなくてもいい?ということなのでしょうか? →「可能」という書き方は、その論旨に沿って、続けて論理を展開したい場合に使われますよね。 「Aと解釈することも可能である」→「Aと解釈するなら、こうなる」のように。ですから、おっしゃる通り、「A以外の解釈もあり得るけど」と、言外に触れていることになります。 また、復帰的物権変動説は、 「取消しの遡及効というのは法律上の擬制にすぎず、取消があっても一度は権利が移動したのであって、AC間は対抗関係に立つと考えるのが相当」というものです。お考えの通りで、合っていますよ。 では、その他の考え方とは何か。 取消がなされれば、所有権者はAのままだったことになり(取消しの遡及効)、その結果Bは無権利者ということになります。よって、Cは無権利者からの譲受人ということになり、Aは対抗要件無しに、Cに対抗できることとなります。 しかし、ここで94条2項の類推適用し、Cを保護することが可能です。 つまり、Cが詐欺による取消しの事実につき善意無過失であれば、所有権を取得できる、と考えるわけです。 これが94条2項の類推適用説ですね。 また、「判例同旨」は、記載しなくても構わないと思います。論旨が一貫していれば大丈夫でしょう。

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