• ベストアンサー

確定日付ある証書の意義について

確定日付ある証書の意義について教えてください。 (1)確定日付ある証書とは何か? (2)確定日付がある場合とない場合ではどう違うか? (3)確定日付ある証書が個別に複数あり、またそれが同日時であった場合、優先さるものはどれか? (1)や(2)はなんとなくわかるのですが、一番答えていただきたいものは(3)です。詳しく説明が載っているサイトだけでもいいので教えてください!!!お願いします。

質問者が選んだベストアンサー

  • ベストアンサー
  • minojun
  • ベストアンサー率50% (32/63)
回答No.1

 はじめまして、「確定日付ある証書」というのは民法467条の債権譲渡という問題を考えるときに出てくるものですね。ちょっと複雑なところもありますが、なるべく判り易く説明してみたいと思います。  何はともあれ、まず条文を見てみましょう(口語体)。 467条〔債権譲渡〕  1項  手形や小切手などと異なり、貸し金や売掛金などのように債権者のはっきりした通常の債権(これらを指名債権といいます)を譲渡するときには、譲渡人である債権者から債務者に対して「誰々に譲渡した」という通知を出すか、または債務者の承諾がなければ、その債権を譲り受けた者は、債務者または第三者にその債権の譲渡があったことを主張することはできない。  2項  ことに前項に規定する債権譲渡の通知または承諾は債務者以外の第三者に対しては、「確定日付ある証書」がなければ債権の譲渡を主張することはできない。  まず1項の存在理由を考えましょう。この規定は一体なんのためにあるのでしょうか? それは、債権というものが、日常ではよく人から人へと譲り渡されていきます。その債権の取引を安全で円滑なものにしようとしたのがこの規定の存在理由です。     例えば、仮にわたしが-hiiro-さんに百万円を貸したとしましょう。支払期限はちょうど一年の予定でしたが、わたしの方が途中でお金に困ってしまいました。なんとか早くその百万円を返して欲しいと思ったとき、Aさんが現れて、「minojunさんよ、その百万円の債権を俺が50万円で買い取ろうじゃねぇか。たった今現金で支払うぜ?」と言われたらどうでしょう。確かに債権額が半分になってしまい、損をするのはわたしの方ですが、わたしも今手元に現金がないと会社が倒産するとか不渡りを出してしまうとかといった状態になっていたとしたら、仕方が在りません。その百万円の貸し金債権をAさんに50万円で譲ってしまうでしょう。ところがそれを-hiiro-さんに知らせずにそのまま放っておいたらどうでしょう? 一年後にAさんが-hiiro-さんのところにやって来て、「やぁ、例のminojunから借りてる百万円は俺に払ってもらおうか」なんて言われて、きっと-hiiro-さんも驚いてしまいますよね。しかも一足違いでわたしに返済してしまっていたとしたらどうでしょう。Aさんは取り逸れてしまいます。そこで、このように債権を譲り受けたと主張したい立場のAさん(譲受人)は、債務者に対して債権者から通知させるか、債務者本人が承諾し納得していないと主張できないことにしたのです。これによって譲受人の利益も守られるし、債務者としても、間違って支払ったり、二重に請求されたりという危険性がなくなる訳です。  次に2項の存在理由です。2項は債権が万が一、二重に譲渡されてしまった場合 を想定しています。  先ほどの事例で、確かにわたしは目先の現金ために百万円の貸し金債権をAさんに50万円で譲ってしまいました。Aさんも「じゃ確かにこの債権は俺のものだな。ワッハッハ、安い買い物じゃったわい!」と笑いながら帰っていきました。わたしは独り百万円の半額の50万円を握り締めて泣いていると、Bさんがやって来ました。「ねぇ、確かキミ、-hiiro-さんに百万円貸してたよね? その債権、ボクが80万円でなら買ってもいいけど売ってくんない?」と持ちかけたのです。そう、ずる賢いわたしは金に困っているのですんなり「いいよ、現金80万円持ってるなら今すぐ-hiiro-さんに電話して君に売ったことを通知してあげるよ。」と承諾してしまい、既にAさんに売ったはずの債権を更にBさんにも売ってしまいました。これが二重譲渡です。こんな事例は日常社会では頻繁に見られます。  また、更にわたしとBさんと-hiiro-さんの3人がグルだったとした場合はどうでしょう? 最初からAさんから50万円を騙し取るつもりで3人で茶番劇を打った場合です。  例えば、「いや~、Aさん、実はねぇAさんに売る前にBさんに売っちゃってたんだよねぇ、この債権。嘘だと思うなら-hiiro-さんに聞いてもいいよ、もう確か-hiiro-さんはBさんに支払っちゃったって言ってたけど」なんて事が出来ちゃう訳ですね。そしてAさんは債権を手に入れられずに50万円騙し取られる結果になります。このように当事者だけでこっそりズルをすることができてしまうのです。  とすれば、この2項の「確定日付ある証書」というものの重要性が理解できてきますね。そうです。どんなにBさんが高い金で後からその債権を手に入れようとしても、また一部の当事者同士が先に売ったとか買ったとか主張しても、「確定日付ある証書」がない限り、その債権譲渡は有効とはならないのです。    そこで-hiiro-さんの質問の。(1)と(2)はほぼご理解戴けたと思います。 (1)確定日付ある証書とは何か?  確定日付ある証書とは、  1・公正証書  2・公証人役場または登記所で日付ある印章を押した私署証書  3・官庁または公署(郵便局など)で、ある事項を記入した日付を記載した    私署証書(内容証明郵便など)のことをいう。 (2)確定日付がある場合とない場合ではどう違うか?    債権が二重に譲渡された場合、債権を有効に譲り受けたと主張するため    には「確定日付ある証書」をその権利主張の要件とする。  さて、そんな貴重な価値のある「確定日付ある証書」ですが、ときにはそれが複数存在することがあります。譲受人だと主張するAさんとBさんがそれぞれにそれを揃えることは可能です。一人は公証人役場で公正証書を作り、もう一人は郵便局で内容証明郵便を出す、という場合もあるし、2人が同時に別々の郵便局から内容証明郵便を出したという場合もあるでしょう。そんなときは一体どうなるんでしょうか?  実はこれには説が分かれていて、「確定日付説」と「到達時説」という学説で少し揉めています。  「確定日付説」というのは、例えばAさんが内容証明郵便を最寄の郵便局から出したのが1月8日、同じようにBさんがその最寄の郵便局から内容証明郵便を出したのが1月10日だったとしたら、確定日付が早かったAさんに債権の譲受権限を認めようとする考え方です。しかし、この場合に、もしもAさんが少し遠くに住んでいたために-hiiro-さん宅にその郵便が配達されるのが遅かった場合どうしましょう? Aさんの郵便が1月の11日にしか到着しなかったのに、たまたま近所に住んでいたBさんの「確定日付つき証書」が1月10日に到着し、几帳面な-hiiro-さんはさっそくその日の内にBさんに債務を支払ってしまう場合も考えられますね。更には、実はCさんやDさんやEさんなどが現れ、「俺もminojunの野郎からこの債権買ったんだぞ!」といって、それぞれ1月7日、1月6日、1月5日と一日違いの確定日付証書を持っていたとしたら、このような確定証書を持った人があと何人現れるか検討がつかず、いつまで経っても真の権利者を確定できない事態になります。  郵便配達屋さん、Aさん、Bさん、-hiiro-さん、決して誰にも責任はないのにこのような結果になることが十分考えられます。この説はこの点で妥当でないと批判されます。  これに対して「到着時説」はどうでしょう? この説は確定日付に関係なく、債務者に到達したのが早い方にその権利を認めようとするものです。その方が債務者してしは判り易いとも言えますが、到達時説も決して完全ではありません。というのも、内容証明郵便なら到達時がはっきりしますが、公正証書を単に郵送したりする場合もありますし、債務者と譲受人の陰謀でいくらでも勝手に誤魔化すことができてしまいます。常に客観的な公正さを図るという意味ではこの到着時説もちょっと問題ありです。  しかし、先ほどのように債権譲渡は、一つの債権が3人とか5人といった大勢の人に渡る場合もある訳で、そんなとき、最後に債権を譲り受ようとする者にとってみれば、一体誰がホントの債権者か判らないこともあります。そんなとき、一番手っ取り早いのは「今君の債権持ってる人は誰?」と債務者に聞くのが一番安全です。このことを「債務者の公示機能」といいます。  とすれば、債務者に公示機能を担わせたり、権利者を確定するのに簡素なのはやはりこの「到達時説」だと言われています。判例もこの説を採用しています。  最後に、では「到達時説」に立ったとして、同時に到達した場合や、いくつも到達していてどれが先に到達したものか分からなくなってしまうことが考えられます。そんなときはどうすればいいのでしょう?  判例は、そのようなときはAさんBさんいずれにも権利を認めるとしています。 そして、その正当な権利者同士で按分して債権を分配するようにしなさい、としています。確かにAさんもBさんも何の落ち度もなく「確定日付証書」まで揃えたのに全く権利が認められないのも可哀相だし、どちらか一方に認めるのも酷です。  そこで、あまり法律的解決方法ではありませんが、裁判所はどちらにも半分づつの権利を認める事で、この問題を解決しようと図っています。痛み分けって事ですね。  大変長々と説明してしまいましたが、納得して戴けたでしょうか? えぇ?余計にこんがらがってしまった? し、失礼しました。  まだ腑に落ちないという点がありましたら、補足して下さればまた回答させて戴きます。  ではでは。

その他の回答 (1)

  • tk-kubota
  • ベストアンサー率46% (2277/4892)
回答No.2

「確定日付ある証書」と云えば、私の場合、公証人の「認証」です。即ち、私製証書について公証人に日付印をもらい、その私製証書が、その日に作成されたものであることを後の裁判で証拠として提出するためのものです。通常の私製証書より強力に証拠としての意味があります。(3)の同一証書が同一日時の認証は考えにくく、実務ではあり得ないと思います。あるとすれば優先は裁判所の判断によると思われます。

関連するQ&A

  • 卒業証書の日付は?

    小学校中学校の義務教育における、卒業証書に書かれる日付は、いつなんでしょうか。又その根拠について知っておられる方ありましたら、教えていただけませんでしょうか。  というのは、市町村合併により、3月31日に新市が発足する場合、卒業式の時点では、合併前の○○町立小学校なのでしょうが、渡される卒業証書が3月31日の日付だと、△△市立小学校と書かれるのでしょうか? このことについて、どう理解すればよいのかよろしくお願いします。

  • 質問です 公証人役場の確定日付?ってなんですか? 公正証書とは何ですか

    質問です 公証人役場の確定日付?ってなんですか? 公正証書とは何ですか? 公証人役場で保管されているのでしょうか? 保管されているなら、何年保管ですか? 確定日付の書類も保管されてますか? 金銭の借用書類は、公正証書と確定日付どちらを使いますか? 素人で申し訳有りません

  • 意義について

    おうかがいします。 国語のカテゴリーでは無いのかもしれませんが、適当なカテゴリーが探せなかったので、ご了承ください。m(__)m 小論文の課題がいくつか出ているのですが、意義を論じる範囲の確定ができなくて困っています。 例えば、 『サッカーの存在意義について論ぜよ』 という課題なら、『サッカーの存在する』意義について論じればよく、 『サッカーを行う意義について論ぜよ』 という課題なら、『サッカーを行う』意義について論じれば良いのだと分かるのですが、課題の文章が、 『サッカーの意義について論ぜよ』 となった場合は、サッカーの『何の』意義について論じれば良いのでしょうか。 よろしくお願いします。

  • 公正証書

    父親が息子に無断で、印鑑証明・実印をとり公正証書の連帯保証人に息子をした場合、息子が公正証書の無効を主張し、請求意義訴訟で簡単に勝訴できるものなのでしょうか?

  • 公正証書について

    数年前、ある消費者金融から融資を受けました。 その際に公正証書を作成しました。 公正証書での利息は18%ですが、実際は27%で支払っています。 初めて2日支払が遅れてしまったところ「公正証書があるのだから一括で支払ってもらいますよ。強制執行もできるのだから」と脅されました。 確かに遅れたのは悪いと思いますが、ちょっとカチンとくるものがありました。 あちらが、公正証書を盾に脅すのであれば、公正証書のとおりの利息で、公正証書に記載されている支払表の金額で一括返済をしたいと思います。 契約書通りの27%でしたら残金が約40万円で、公正証書の支払表に記載されているのであれば約10万円です。 40万円を支払って、あとから過払い請求も考えましたが、面倒さを考えたら、先に10万円払った方が良いと思います。 この場合、消費者金融会社との契約書が優先されるのが、法的文章である公正証書が優先されるのか教えて下さい。

  • ピポットテーブルでの日付表示について

    どなたか教えてください。Excelでピポットテーブルを使い物品の出入庫を管理してます。表に日付、コード、品目、使用者、入出庫の数量データなどを入れてます。それをピポットテーブルにして、レポートフィルターに品目コード名を入れて行ラベルに日付、品目、数量などを出せるようにしています。抽出結果を別のシートに参照するようにして個別の出入庫票をつくっています。その際に同じ日付で入庫、出庫があった場合ピポットテーブルでは同じ日はひとくくりで表示され同日の下段のセルは空白もしくは白いままになり参照先でも白いままです。それを何とかしたくご相談しました。同上とかでるようにしたいのですが。 うまく説明できているか不安ですがひとつ皆様お知恵をお貸しください。よろしくお願いします。

  • 公正証書

    父親が息子に無断で、印鑑証明を取得し実印を押して公正証書の連帯保証人に息子をした場合、息子が公正証書の無効を主張し、請求意義訴訟で簡単に勝訴できるものなのでしょうか? 実印の管理が悪いために、連帯保証人 の息子には落ち度は無いのでしょうか?

  • 公証人役場での確定日付の考え方

    仕事で時折、所有権移転の対抗要件確保のため公証人役場で譲渡書類に確定日付を取得します。 この時、公証人役場では、書類に確定日付の印判(&番号)と割印判を押してくれますが、コピーを控える事はしていません。 例えば確定日付取得後に、書類内容を変更して正規の訂正印を押したとすると、後になってその訂正がいつ行われたのか(確定日付取得前/後)証明する事が出来なくなり、確定日付の目的が果たせなくなるおそれがあると思うのですが、法律的にどのように整理されているのか、ご存知の方がおられましたら是非ご教示下さい。 よろしくお願い致します。

  • 公正証書遺言について

    遺言書は日付が新しいほうが有効と聞いたのですが、 公正証書遺言の場合は無効にできないとも聞きました。 公正証書遺言の存在を知らずに、遺言書が別に作成されるという事は あり得ることだと思うのですが、その場合、どちらの遺言書に有効性があるのでしょうか?

  • 公正証書にした貸金の時効

    法律事務所の新米事務員です。お力を貸してください。 貸金業者がお金を貸した場合、時効は5年です。 さて、お金を貸した時、公正証書化したとします。 ところで、確定判決の時効は10年です。 時効に関して、公正証書は確定判決と同じ扱いをされ、時効は10年になる、ということがありますか? もしあれば、根拠となる条文や判例も御教示くださると助かります。