• ベストアンサー

第三者は差押えの有無を分かるんでしょうか?

 こんにちは、よろしくお願いします。「判例評論 480号 20~23」を読んでいましたら、疑問に思うことがありました。事例は以下のようなものです。Bに賃貸している債務者Aに対して、その一般債権者Yが賃料債権を差押えたところ、差押えの送達後に抵当権を設定して、やっぱりその賃料債権に物上代理しようとしたXと競合してしまったという事例でした。本判例の論点からは外れるんですが、普通、差押えの後に取引関係に入る今回の抵当権者Xのような人は、前の当事者達A・B・Yの間に差押えがあったという事実を知ることが出来るんでしょうか?もし、あるとしたらどのような方法で行われているんでしょうか。  このような疑問ですが、よろしければ、回答をいただきたく思います。

  • babao
  • お礼率50% (22/44)

質問者が選んだベストアンサー

  • ベストアンサー
noname#1455
noname#1455
回答No.1

 結論から申し上げますと、被差押債権に対する債権執行の存在は、第三債務者からの情報提供によって公示することになります。  債権に対する強制執行は、執行裁判所(=強制執行事件の担当裁判所)が、差押命令において、「債務者」(=強制執行を受ける者。差し押えられる債権(被差押債権)の関係では、債権者になります。)に対しては債権の取立てその他の処分を禁止し、「第三債務者」(=被差押債権の関係で債務者となる者)に対しては債務者への弁済を禁止したうえで、差押命令を債務者及び第三債務者に送達することによって開始します(民事執行法143条、145条1項、3項)。  そして、差押えの効力は、差押命令が第三債務者に送達(≒配達)された時に生じます(同法145条4項)。  なお、差押命令は、債務者及び第三債務者を審尋(≒言い分の聴取)しないで発するものとされています(同条2項)。  つまり、ご質問の事例で、Xには、本件賃料債権を被差押債権とする強制執行を申し立てる前にYが既に当該債権を差し押さえている事実を知る手段はありません(事前にA(債務者)やB(第三債務者)に問い合わせれば別ですが。)。  babaoさんは、「なぜXは、事前にAやBに問い合わせないのか。」とか、「なぜ登記や登録などの確実な公示制度を設けないのか。」といったご疑問をお持ちかもしれませんね。  まず、なぜXが事前調査をしないのかという点については、債権は目に見えない権利ですから、差押えに先立ってAやBに問い合わせれば、A・B両者が通謀して「当該賃料債権は弁済済みです。」と主張したり、差押命令の送達前に賃料額を大幅にディスカウントしたうえで前払いを済ませたりして、差押えの免脱を謀るおそれがあるからです。  また、差押えの公示制度が設けられていないという点については、民法467条の制度趣旨と共通するところがありますので、勉強してみてください(なお、ご質問の趣旨からは外れますが、債権譲渡については、実務上、債権譲渡登記制度(下記参考URL→「トピックス このほかにもあります」→「債権譲渡登記制度の導入」とリンクをたどってください。)が重要になっています。)。  ただ、XがYの存在を知る手段が、執行手続上全くないわけではありません。差押債権者(ご質問の事例では、X)は、強制執行の申立ての際に、第三債務者に対する陳述催告(民事執行法147条。執行実務では、「三陳(さんちん)」と略称することが多い。)を申し立てることができます。  この陳述催告の回答書には、被差押債権の存否、額、支払意思の有無などが記載されます。ご質問の事例では、Bは、被差押債権たる賃料債権は実在するが、既にYから差押えを受けており支払意思はない(または以後供託する)旨回答することになりますので、これにより、Xは、先行する差押えの存在を知ることになるわけです。  以上、お役に立てば幸いです。

参考URL:
http://www.moj.go.jp/
babao
質問者

お礼

どうも、ありがとうございました。大変詳細にご回答くださいまして、参考になりました。感謝いたします。

その他の回答 (1)

  • tk-kubota
  • ベストアンサー率46% (2277/4892)
回答No.2

babaoさんの云う判例評論が私の手元にありませんが、その判例は、債権者Yが、AがBに対して持っている賃料債権を差し押さえた事例で、Xが何故そのことを知り得たか? という問いと思います。そうだとすれば、通常では知り得ることはできないと思います。(AかBがXに任意的に教えたとすれば別ですが。) ただ、このようなことが云えます。Yが賃料債権を差し押さえた後にYがAの当該不動産を差し押さえたとすれば、抵当権者であったXに裁判所から通知が行きますからXはYもAの債権者であることを知ることができます。そうすればXもBを第三債務者として債権差押えすることができ、結局、Bの賃料はXとYの両方によって差押となったことになります。 なお、Bに対する差押がYよりXが早ければ三陳によってYは競合していることを知り得ます。

babao
質問者

お礼

 参考にさせていただきました。どうも、ありがとうございます。やはり、通常では第三者は、差押えの存在を知ることは出来ないのですね。ご回答されたようなケースを除いて・・・。

関連するQ&A

  • 差押と第三債務者による相殺について

    こんにちは。独学で民法の勉強をしていますが解説を読んでも理解できなかったので質問させていただきたく思います。宜しくお願いいたします。 私の参考書に以下のような記述がございました。 【1つめの記述】  債権者Xが債務者Aの第三債務者Bに対する債権Pを差し押さえる前に、第三債務者Bが債務者に対する反対債権Qを取得した場合、BはPとQの相殺を援用できる。 【2つ目の記述】  登記された抵当権の目的となっている建物が賃貸されている場合において、抵当権者が物上代位により賃料債権を差し押さえた後は、賃借人は抵当権設定登記後に取得した債権を自働債権として、差し押さえられた賃料債権との相殺を主張することができない。 お恥ずかしながら、この2つの論点の違いが私には理解できませんでした。 1の論理で考えると2の記述でも、相殺できるのではないかと思うのですが。抵当権設定後であったとしても反対債権の取得時期は差押前なので… と考えたのですが、 それとももっと基本的な前提を見落としているのでしょうか? 何分、法学部出身でもなく、また、大した思考力もなく、困っております。 どなたか、ご教示いただけますと大変助かります。 宜しくお願いいたします。

  • 物上代位と差押について

    先ほどの質問に書き忘れた部分があるので新たに質問させて頂きます 当方初学者です。簡単な問題かもしれませんがお許しください。 ABCはそれぞれ債権をDに対して有しており、Dの有する建物にそれぞれ抵当権の設定を受けている(Aが第一、Bが第二、Cが第三順位抵当権者)。 BとCがそれぞれ物上代位に基づいて、DのEに対する賃料債権の差押を行った場合、配当額というものはどういう風に決まるのですか? Aは差押を行わなかった場合、たとえ第一順位だとしても配当を受けられないのですか? 宜しくお願いします。

  • 物上代位の要件

     質問自体がうまくまとめられていないかもしれないのですがよろしくお願いします。 1) 動産先取特権による物上代位の目的となる債権について、一般債権者が差押又は仮差押をした後であっても、先取特権者は物上代位権を行使することができるとされます。  この理由はそもそも一般債権者の仮差押えはもちろん差押えも304条にいう「払渡し又は引渡し」には当たらないからだと思うのですがそういう理解でよいのでしょうか。とするとこの場合、先取特権者は差押えなしに先取特権を行使できるということでよいでしょうか。 2)他方、債権について一般債権者による差押えと抵当権者の物上代位権による差押えが競合したときは、前者の差押命令の第三債務者への送達と後者の抵当権設定登記の先後によって優劣を決すべきだとされていると思います。(最判平10.3.26)  そこで疑問なのですが第一に1)のように一般債権者の差押えが「払渡にも引渡し」にも当たらないのであれば抵当権設定登記が差押え命令の送達の後であっても、抵当権者が自ら差押えれば物上代位権を行使できるということはないのでしょうか。  債権譲渡の場合には、その対抗要件が備えられた後であっても抵当権者は自ら差押さえれば物上代位権を行使することができるとされることとの対比で差し押さえの場合に登記の先後がなぜ優劣の基準となるのか理由がわかりません。  第二は一般債権者の差押えが「払渡にも引渡し」にも当たらないのであれば1)と同じように抵当権者は登記さえ備えておればそもそも差押さえをする必要すらなく、一般債権者による差押命令の送達に対抗することができるということはないのでしょうか?  第三は上記判例では一般債権者による差押命令の第三債務者への送達と抵当権の登記の先後が問題とされていますが送達されるよりも前に差押えの登記が入れば優劣は両者の登記の先後となるのでしょうか。

  • 宅建の問題(抵当権)について質問です。

    次の問題があります。 AはB所有の建物に抵当権を設定し、その登記をした。Bは、その抵当権設定登記後にこの建物をCに賃貸した。 Bの一般債権者であるDが、BのCに対する賃料債権を差し押さえ、その命令がCに送達された後でもAは物上代位権を行使して当該賃料債権を差し押さえることができる。(答え;正解) この問題での一般債権者とは、どういう存在なのか教えて頂けないでしょうか。 無担保の債権者なら物上代位はできないでしょうし・・。 宜しくお願い致します。

  • 宅建の問題で抵当権(物上代位権)について教えて下さい。

    宅建の問題で抵当権(物上代位権)について教えて下さい。 平成15年第5問で「Aは、B所有の建物に抵当権を設定し、その旨の登記をした。Cは、この契約時に、賃料6ヶ月分相当額の300万円の敷金を預託した。この場合、民法の規定及び判例によれば、次の記述のうち正しいものはどれか。 (肢4)Aが物上代位権を行使して、BのCに対する賃料債権を差し押さえた後、賃貸借契約が終了し建物を明け渡した場合、Aは、当該賃料債権について敷金が充当される限度において物上代位権を行使することはできない。・・・・答え「正しい」 上記問いに対して(肢4)は正しいと解答してあります。 「当該賃料債権について敷金が充当される限度において」とは賃料の精算部分(例未払賃料50万円であれば)であるので、敷金が賃料債権に充当される部分(敷金300万円のうち50万円)については物上代位権を行使できるのではないかと考えますがいかがでしょうか。 それとも支払前の差し押さえができないから物上代位権が行使できないということでしょうか。 解説では「賃貸借契約関係から生じる債権との決済が優先されるべきなので、(物上代位権が行使されたとしても、賃料債権への充当が優先され、その限度において物上代位権が行使できないことになる)」とありました。 できるだけ分かりやすい説明をお願いいたします。

  • 物上代位性に関する判例についてです。

    物上代位性に関し、下記のような判例があるみたいなのですが、その内容、意味することについて、具体的にやさしく教えてもらえませんでしょうか。 よろしくお願いいたします。 記 (ア)賃料への物上代位: 抵当不動産が賃貸されている場合に、抵当権者は、抵当権設定者の有する賃料債権に対して物上代位できる(最判平元.10.27)。 (イ)債権譲渡と物上代位: 物上代位の目的債権が譲渡されていても、抵当権者は、自ら目的債権を差し押さえて物上代位権を行使することができる。(最判平10.1.30)。

  • 競売と物上代位の賃料債権

    債権回収について調べていたら疑問に思った事があります。 抵当権(1番)に基づき収益不動産の競売を申し立てた場合、その不動産からの収益はどうなるのでしょうか。落札されるまで債務者に入ってしまうのでしょうか。 それと、抵当権の物上代位基づく賃料債権差し押さえをしているときに競売の申し立てがなされた場合は差し押さえの効力はどうなるのでしょうか。

  •  抵当権に基づく物上代位に関する質問です。

     抵当権に基づく物上代位に関する質問です。  物上代位の目的債権が譲渡・差押えされる前に抵当権の設定登記を備えていれば当該債権を自ら差押えて物上代位をすることができる、というのが判例の立場です。その理由は、抵当権に基づく物上代位の効力は登記によって公示されているから、先に登記を具備していれば債権譲受人・差押債権者に不測の損害を与えることはないという点、また差押えの処分禁止効にいう処分には抵当権の設定も含まれている点に求められると思います。このため目的債権を第三者が差押後、抵当権を設定しても当該債権につき物上代位を行うことができません。  ここで疑問に思うのが、先取特権の場合、単に目的債権を差押えられた後も重ねて同債権を差押えて物上代位ができることと整合性がとれていないのではないかという点です。  すなわち、第三者に不測の損害を被らせることを防止するために、第三者が目的債権を差押えた後に抵当権を設定しても物上代位はできないのならば、公示機能のない先取特権の場合も目的債権が差押えられた場合物上代位を認めるべきではないように思えるのです。  担保物権に詳しい方おられましたらご教授ください。

  • 物上代位に関する判例についてです。

    物上代位に関し、下記のような判例があるみたいなのですが、その内容、意味することについて、具体的にやさしく教えてもらえませんでしょうか。 よろしくお願いいたします。 記 抵当権者が物上代位により賃料債権を差し押さえたときでも、賃貸借契約が終了し、目的不動産が引き渡されたときは、賃料債権は、敷金の充当によりその限度で消滅する(最判平14.3.28)。

  • 賃料債権の差押が競合した場合

    教えて頂けますでしょうか。 私は債権者で、土地に抵当権を設定しておりますが、競合するAが隣接地に別途抵当権を設定しています。債務者は別々ですが所有者は同一です。双方の設定以後、第三債務者が両方の土地にまたがって建物を建設し、事業用借地権契約に基づき所有者に賃料を支払いしておりますが、所有者はそれぞれの債権者に対して支払いを延滞している状況です。 今月に入りAが賃料債権に差押をしてきました。 私が同様に賃料債権に差押をした場合、第三債務者は裁判所に供託しなければならないと思います。私とAに配当されるケースで、 1.賃料債権の差押がAと競合しますが、私は時期的に遅れをとっています。Aに劣後してしまいますか? 2.隣接地との面積割合はAのほうが若干広い状況です。面積割合という考え方はありますか? 3.債権額は私が10倍以上ありますが、債権額での割合という考え方はありますか? 法的根拠を基にご回答よろしくお願いいたします。