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電子回折法の分解能

電子線回折で使う電子のエネルギーが40keV程度の時、そのドブロイ長は0.06132Åであるにもかかわらず、回折法により物質の構造が0.001Åの桁まで決定されています。回折法の場合の分解能と言うのはどうやって定義されるものなのでしょうか?ドブロイ長より短いスケールを決定できる仕掛けは一体なんなんでしょうか?

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  • ベストアンサー
  • kenojisan
  • ベストアンサー率59% (117/196)
回答No.2

回折法を良く使っている材料研究者ですが、回折法そのものの専門家では無いので自信は無いのですが。 おそらく、質問者の疑問は、良く言われる「波動は、その波長程度の大きさ以下の情報を検出できない」を念頭に置いてのことではないでしょうか? 回折法でも、ブラッグの式からも分かるように、波長の半分以下の大きさに対しては回折現象を起こせません。この意味では、上記の原則どおりです。ただし、これは、測定で言うところのいわゆる「感度」に当たるものです。 これに対し、質問の内容は回折測定の「精度」ではないでしょうか。 逆格子空間で考えれば、回折測定というのは使う波の波長の逆数を半径にしたエワルト球を動かして、測定対象の物質の逆格子をなぞっていくようなものです。このときに、どうがんばってもエワルト球の直径(実空間で半波長)より遠い逆格子点(実空間では格子間隔の小さい限界)をなぞることは出来ません。これが、感度限界です。しかし、測定「精度」の方は、逆格子点をどれだけ正確になぞれるか、の問題なので感度とはまた別の問題となります。 一般に、回折法の測定精度には、測定装置の機械的精度、使う波の単色度、測定対象の試料の品質の影響が大きいと思います。 良く使われる電子線回折として、TEMの透過電子線回折やRHEED、LEEDがありますが、いずれも電子線の単色化度は悪く、試料ステージも簡易、実際には球面状の回折面を平面スクリーンで観察するため歪みが出るなど、精度の高い測定は出来ません。 一方、X線回折は使用波長は電子線より長いので、測定可能限界長さは大きくなりますが、高精度用なら波長の単色化が良い、機械的精度が高い、回折球面に沿って検出器を移動している、などから高精度な測定が可能です。 実際の実験的な精度決定には、標準試料を使って回折ピークの半値幅から分解能を、複数のピーク位置から回折角の精度決定を行います。

infinity40-100
質問者

お礼

非常にわかりやすい説明ありがとうございました。ご指摘の通り、「波動は、その波長程度の大きさ以下の情報を検出できない」が念頭にありました。感度と精度の違いが非常にわかりやすかったです。

その他の回答 (1)

回答No.1

単純に有効数字の計算法を考えればすむ問題ではないでしょうか? X線は波長が銅ターゲットで1.5Aぐらいですが、やっぱり0.001Aぐらいまでの精度はあります。

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